ベルヌーイの効果
圧力と速さ
速い場所ほど壁を押す力が弱まる関係
どんな現象?
一本につながった流れをたどっていくと、細い区間ほど流れは速く、そこだけ壁を押す力が弱くなります。管の途中に細いガラス管を何本か立てて水位をくらべると、速い区間の水位だけが低い。速さと押す力がシーソーのように入れ替わる、その入れ替わりを見ているのがこの現象で、液体でも気体でも同じ形で現れます。
なぜ起きるか
流れのひとかたまりが速くなるには、後ろから押す力が勝つ必要があります。つまり圧力の低い区間へ入っていくから加速する。押しているのはいつも圧力の高い側で、引っぱる力はどこにもありません。加速し終えた場所では、勢いに変わった分だけ壁を押す力が減っています。速いから圧力が下がるのではなく、速さと押す力は同じ出来事を二つの目盛りで読んだものです。
どこで見られるか
細い絞りをつないだベンチュリ効果の流量計、霧吹き、風洞で翼のまわりを測った圧力の分布など、流れの速さを圧力で読む道具は、たいていこれが土台になっています。成り立つ前提はベルヌーイの式の側にまとまっていて、摩擦の小さい速い流れほどよく合い、どろりとした液体では合わなくなります。
勘違いしやすいところ
くらべてよいのは同じひと続きの流れの上だけで、扇風機の風とその外側の空気のように、別の道すじを来た流れどうしでは成り立ちません。熱の出入りや強い摩擦があるところも外れます。飛行機が浮く理由をこれだけで語るのは足りず、その話はベルヌーイだけで飛ぶという説明にまとめてあります。
解説動画: 流体力学第17回 ベルヌーイの定理とその意味【機械工学】(コメント欄にて訂正あり🙌)/単位が取れる機械工学【メカニカル大学】
流体版のエネルギー保存: ベルヌーイの定理は、結論から言えば流体のエネルギー保存。物体のときは運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定で、ジェットコースターが上がり下がりして速さが変わっても、二つを足した値はどの地点でも変わらなかった。流体ではここに圧力エネルギーという項が加わる。
圧力がエネルギーな訳: 圧力の単位は、力の単位を面積で割ったもの。分母と分子に長さをひとつずつかけてやると、分子に力かける距離、つまり仕事の単位が現れる。だから圧力の単位は単位体積あたりのエネルギーとも読める。エネルギーの式に圧力が並んでいてよい理由はここにある。
圧力が仕事をする能力: 位置エネルギーの正体が重力が仕事をする能力であるように、圧力エネルギーの正体は圧力による力が仕事をする能力。管の中の流体が1秒で進む距離は流速に等しいので、圧力のする仕事は力かける流速。それを同じ1秒で押しのけた質量で割ると、圧力を密度で割った形になる。
成り立つ範囲は狭い: この式が使えるのは定常な流れの、しかも1本の流線に沿ってだけ。導き方は物体のときと同じで、流体の運動方程式を流線に沿って積分すると出てくる。動画には形の違う2つの式が並ぶが、片方はもう片方を密度で割っただけの同じものだと断ってある。