ウェーバー数
無次元数
表面張力が形を保てるかどうかを測る数
何を言っている?
流れやぶつかりの勢いと、表面張力が形をまとめる力の比です。小さいうちは液体は丸いままでいられ、大きくなるほど平たく引き伸ばされ、やがてちぎれます。効くのは当たる速さと粒の大きさ、液体の重み、そして表面張力の四つで、速さは二乗で効きます。コップに水を勢いよく注いだとき、飛沫が飛ぶかどうかも、同じ比の大小で決まっています。
読み方の目安
1より小さければ液滴は球へ戻ろうとします。10ほどから目に見えて平たくなり、12前後を超えると袋のようにふくらんで裂け、100を上回ると細かく飛び散ります。この液滴の分裂の境目には幅があり、粘りの強い液体ほど後ろへずれます。同じ勢いでも粒が小さいほど値は下がるので、霧のように細かい粒はなかなかちぎれません。
どこで使われているか
霧吹きや農薬の散布、燃料の噴射、印刷の吐出、雨粒の大きさの見当づけに使います。粒の細かさをそろえたい場面では、ほぼ必ず顔を出す数です。吸い込む薬のように粒の大きさが効き目を左右する道具では、噴き口の形と速さから逆算します。台所の霧吹きも、握るほど出口が速くなり、粒は細かくなります。
はまりどころ
この数だけでちぎれ方まで決まるわけではなく、粘りを表す別の数と組で見ます。糸を引くのか袋になるのかは、それで分かれます。そして表面張力は膜ではありません。分子どうしが引き合って表面積を小さくしようとする性質であって、表面張力は膜が張っているという説明は言葉のあやです。噴き方を決めるときは、勢いと粘りの二つを並べて見ます。
解説動画(海外・英語): Weber As Inertia to Surface/MECH 241 - Fluid Mechanics I
丸いままでいられるかの境目: 小さな液滴や気泡は、表面張力が丸い形へ引き戻しているあいだは球に近い形を保つ。ところがまわりに流れがあると形がゆがみ、やがて液滴の分裂のようにもっと小さな粒へ割れる。割れるか保つかを決めるのが、流れの勢いと表面張力のどちらが勝っているかというこの数。
何と何の比なのか: 勢いの側は密度と速さの2乗と長さの2乗を掛けた形、表面張力の側は表面張力の強さと長さを掛けた形になる。比を取ると長さが一つ約分され、密度と速さの2乗と代表長さを表面張力の強さで割った形が残る。最初に取り上げたモーリッツ・ウェーバーの名が付いている。
10が雨粒の上限を決める: 液滴や気泡では、この数がおよそ10より小さいあいだは割れずに安定でいられる。動画はこの上限のおよそ10が雨粒がとれる最大の大きさを決めていると言う。粒が大きいほど落ちる速さが増し、抗力をはじめとする勢いの側が表面張力の側を上回っていくからだ。
膨らんでから複数に割れる: 限界を越えた雨粒は、まず外へふくらむように変形し、落ちるうちにかなり小さい複数の粒へ割れていく。つまりこの数は、その瞬間の形だけでなく落ちながら滴がどう変わっていくかも教えてくれる。降ってくる雨粒の大きさに天井があるのはこのためだと動画は説明する。
燃料を霧にするときの目安: 工学で効くのは燃料の微粒化。液体燃料を燃やすためにどこまで細かい霧にできるかがこの数で決まり、機械工学の重要な応用になっている。ただし表面張力が強く効く流れは多数派ではないので、流体力学の講義では出てこないことも多い、と最後に付け加えている。