プラントル数

無次元数

動きと熱の、どちらが速く伝わるかの比

何を言っている?

動きの伝わりやすさと、熱の伝わりやすさの比です。ほかの多くの数と違って、流れの速さが入りません。液体や気体そのものの性質だけで決まるので、同じ水なら、勢いよく流れていても止まっていても値は同じ。流れではなく中身の数で、温度さえ決まれば表から読めます。空気と水と油では、どちらが先に伝わるかが入れ替わります。

読み方の目安

空気は0.7ほど、常温の水は7ほど、粘い油は数百から数千、液体金属は0.01ほどと桁で性格が変わります。1より大きいと、速さの変わる層より温度の変わる層が薄くなり、熱いものに触れた面のすぐそばで温度が急に変わります。液体金属では逆に熱が先へ広がり、温度の層が分厚くなります。

どこで使われているか

熱交換器や冷却の設計、電子部品の放熱、食材に火が通る時間の見当に使います。境界層の厚みを速さの側と温度の側で並べ、どちらが先に効くかを見る物差しです。揚げ物と煮物の差はまず温度の違いですが、油は熱の進みが遅いぶん表面と中の差もつきます。鍋の中の対流も背景は同じで、冷やす相手が油か水かで装置の大きさが変わります。

はまりどころ

温度でよく動きます。水は氷点近くで13ほど、沸点近くでは2を切るので、ひとつの値で通すと外れます。物の性質を表す数である以上、流れを速くしても変えられません。動かしたいなら別の液体を選ぶしかなく、そこは設計の効かない部分です。気体は1のあたりに集まりますが、液体は材料しだいで大きく散らばります。

解説動画: 熱境界層/Postcard Professor

温度で見た境界層: 平板の上の流れで、壁からどれだけ離れれば元の流れの速さに戻るかを示すのが運動量の境界層で、平板では平方根のような形に伸びる。同じことを速度ではなく温度で見たのが熱境界層で、形はよく似ていて違うのは大きさのほうだ。

2つの拡散しやすさの比: その大きさを決めるのがプラントル数で、中身は運動量の拡散しやすさと、熱の拡散しやすさの比。単位を持たない数だ。上に来るのは動粘度(粘度を密度で割ったもの)、下は熱拡散率(熱伝導率を、密度と比熱を掛けたもので割った値)。整理すると粘度と比熱を熱伝導率で割った形にも書ける。

厚みだけを変える: プラントル数は形は変えず大きさを変える。ちょうど1なら運動量と熱が同じように広がり、2つの境界層は形も大きさも一致する。大きくすると熱は運動量ほど広がれず熱境界層は小さい。小さくすると壁から熱が速く逃げ、遠くの流れまで影響して熱境界層は大きくなる。

断面で温度の伸びを見る: ある位置で断面を取り、壁からの距離に対して速度と温度を並べると違いが見える。温度はそのままではなく、局所の温度から壁の温度を引いた差として見るので、値は壁で0、外の流れで1になる。プラントル数が1より大きいと外の温度に長くとどまり、壁の近くで一気に折れる形になる。

ヌセルト数の0.332: 板から出る熱を扱うにはヌセルト数を使う。対流で運ぶ熱と、伝導で運ぶ熱の比で、熱伝達係数と長さを掛けて熱伝導率で割った形になる。平板のある一点では0.332にプラントル数の3分の1乗とレイノルズ数の2分の1乗を掛けた形、全長で平均すると係数は0.664。この0.332は摩擦抵抗の0.664のちょうど半分で、出どころはブラジウスの式と同じだ。