終端速度

力と抵抗

重さと抵抗が釣り合い、それ以上速くならない速さ

何を言っている?

落ちる物が、重さと抵抗が釣り合って、それ以上速くならなくなった速さです。速くなるほど抵抗は育つので、どこかで必ず重さに追いつきます。育ち方は大きさで変わり、雨粒ほどなら速さの二乗に近く、霧の粒では速さそのものに比例します。追いついたあとは加速をやめ、同じ速さのまま地面まで落ち続けます。

読み方の目安

直径二ミリの雨粒で秒速六から九メートル、霧の粒なら秒速数センチ、腹ばいの人で秒速五十から六十メートルほど。同じ形なら大きいものほど速く、同じ大きさなら重いものほど速い、という向きに動きます。霧雨がいつまでも空中に残るのは、この速さがとても遅いからです。

どこで使われているか

雨や雪の落ち方、粉を大きさで分ける工程、落下傘の設計、沈む速さから粒の細かさを測る方法。種が風で運ばれる仕組みも、綿毛が抵抗を稼いでこの速さを極端に遅くすることで、風に乗っていられる時間を長くしています。工場の集じんでも、沈む速さの違いで粉をより分けます。

はまりどころ

重い物ほど速く落ちるという言い方は、空気があるときに限った話です。真空では羽根も鉄球も同時に落ちます(重いものほど速く落ちるという思い込み)。同じ体重の人でも、腕を広げるか足から落ちるかで受ける抵抗は変わり、倍近く違う速さになります。落ちる高さが足りなければ、この速さに届かないまま着地します。

解説動画: 【物理基礎 定期試験対策】流体中の物体の運動と終端速度【力学】*/「ただよび」理系チャンネル

雨粒が傘を破らない理由: 導入は雨粒。重力だけで落ちるなら、地上に届くころには相当な速さになっていて、傘に穴が空くはずだという。実際にそうならないのは、落ちながら抵抗を受けてある速さ以上にならないから。この頭打ちの速さが終端速度で、動画は重力と抵抗力のつり合いからそこを追いかける。

抵抗は速さに比例と置く: 本当の空気抵抗は半径と落ちる速さの両方に関わり、体積に比例すると見る立場もある、と断ったうえで、ここでは速さに比例する抵抗力だけを扱う。比例定数を一つ置くだけの形にする。雨粒の形も、扱いやすいように球として考える。単純にしたぶん、あとは力の絵だけで進む。

重力と抵抗が等しくなる: 落ち始めは速さがゼロで、はたらくのは重力だけ。速くなるほど上向きの抵抗力が育ち、やがて重力と抵抗力が等しくなる瞬間が来る。力がつり合えば静止か等速直線運動——すでに動いているので等速直線運動になり、そこから先は加速しない。この一定の速さが終端速度と呼ばれる。

グラフの傾きで読む: 速さと時間のグラフは原点から立ち上がる。動画は2か所で接線を引いて比べる。早い時刻の接線は急で加速度が大きく、時間が経つほど傾きは小さくなる。最後は線が真横になり傾きがゼロ——加速度ゼロ、つまり速さが変わらない。その水平な高さが終端速度にあたる。

例題は3分の1の速さ: 例題では、落ちている途中の加速度は重力加速度から速さに比例するぶんを引いた値。つり合いから終端速度を求めると、重力を比例定数で割った値になる。さらに終端速度の3分の1の速さのときは抵抗が重力の3分の1しかないので、加速度は重力加速度の3分の2と出る。