浮力

力と抵抗

何に効くか: 力を見積もる

浮力は、押しのけた流体の重さぶんだけ上を向く力。

何を言っている?

押しのけた流体の重さと同じだけ、上向きに受ける力です。流体は深いところほど圧力が高いので、物の底を押し上げる力が上面を押し下げる力より強く、その差が引き算で残ったものが浮力です。水が下から引き上げているわけではありません。OpenStax の物理の教科書は、物の平均の詰まり具合が流体より小さければ浮き、大きければ沈むと説明します。氷が浮くのも同じ体積で水より軽いからです。

読み方の目安

水なら一リットル押しのけて一キログラム分ほど。同じ重さでも、かさが大きいほど強く押し上げられます。動画チャンネル The Organic Chemistry Tutor の計算例では、10kg のアルミの塊をつるすひもの張力は、真空で98N、空気中で97.9N、水中で61.74Nで、空気の浮力は0.047N、水の浮力は36.26Nでした。

どこで使われているか

船や浮きの設計、潜水艦の潜り方、気球、比重を測る道具。温まって軽くなった部分が押し上げられる鍋の中の対流も同じ力です。熱気球は中の空気を温めてかさの割に軽くし、この力で浮きます。精密な質量の計量では空気の浮力の補正が要り、NIST の Davis(1990)は、白金イリジウムの原器と真鍮・ステンレスの分銅の比較で、補正が百万分の87〜97になると報告しています。

はまりどころ

重力があってはじめて成り立つ力です。NASA は、地上では浮力による対流が炎をしずく形にして煤を先へ運び黄色く光らせ、微小重力では対流が無く、炎は球形で煤のない青になると説明します。人の浮きやすさも一様ではなく、Massey ら(2026)が、アフリカ・カリブ・アジアにルーツを持つ人で行った横断研究では、指導と練習のあと2分間あお向けで浮く課題に挑んだ96人のうち89人が成功し、体脂肪率が結果と強く関係しました。

出典

  1. 資料・英語 William Moebs, Samuel J. Ling, Jeff Sanny(OpenStax)(2016) Archimedes' Principle and Buoyancy (University Physics Volume 1)
  2. 動画・英語 The Organic Chemistry Tutor Archimedes Principle, Buoyant Force, Basic Introduction - Buoyancy & Density - Fluid Statics
  3. 論文・英語 Richard S. Davis(NIST)(1990) New Assignment of Mass Values and Uncertainties to NIST Working Standards
  4. 公的機関・英語 NASA(2020) Candle Flame - 1g vs Microgravity
  5. 論文・英語 Massey H, Eglin C, Long G ほか(2026) 'Find Your Float': A Public Health Approach to Addressing Drowning Inequities in People of African, Caribbean and Asian Heritage: A Cross-Sectional Study

解説動画: 【中3理科p1】水圧・浮力!【水中にはたらく力とは?】【運動とエネルギー】/ぽにょん 中学理科あにめ!

ゴム膜のへこみ方: 水にポリ袋ごと手を入れると袋が貼り付き、全体が押される感覚がある。それを見えるようにするのがゴム膜を張った器具で、浅い所ではわずかにしかへこまず、深い所では大きくへこむ。上下に向けて入れると上面は小さく下面は大きくへこむが、同じ深さなら向きを変えてもへこみ方は同じ。その地点より上にある水の重さで押されるので、深いほど大きく、あらゆる方向から働く。

ばねばかりで測る: 用意するのは深さのあるビーカーと水、同じ大きさで重さの違う重り二種類、そしてばねばかり。ニュートンの目盛りが書かれた面を使い、質量100グラムに働く重力が約1ニュートンという換算を頭に置く。空気中で測ってから、重り全体が浸るなるべく浅い所と、底に触れない限界まで深い所で読み比べる。

深さを変えても同じ値: 水中では空気中より小さい値が出る。ところが深く沈めても浅かった時と同じ数値のまま動かず、重さの違うもう一つの重りでも同じだった。重りが軽くなったわけではないので、重力と反対向きに押し上げる力が働いていることになる。これが浮力で、大きさは深さに関係しないと結論づける。

上下の水圧の差が残る: 矢印で描き直す。上面にかかる水圧は短い矢印、下面は長い矢印で、下からの矢印が余った差の部分が上向きの浮力になる。深い所へ移せば上下とも矢印は伸びるが、差の部分は変わらない。空気中と水中で読んだ数値の差を計算しても、浅い所と深い所で同じ大きさになった。

浮くか沈むか、水面で止まる: 同じ体積で重さの違う物体を並べ、浮力と重力の矢印を比べる。重力のほうが大きければ沈み、浮力のほうが大きければ浮かんでいく。水面まで上がると水中に入っている部分の体積が減るので、かかる水圧も浮力も小さくなり、重力と同じ大きさになった所で水面に浮いて止まる。