運動量保存

基本の考え方

勢いのやり取りとして力を数える見方

何を言っている?

勢い、つまり質量と速さを掛け合わせた量は、外から力が加わらないかぎり相手へ移るだけで消えない、という考え方です。力とは勢いのやり取りだと読み替えると、流れが物を押す理由がそのまま見えてきます。押したぶんは必ず押し返されるので、水を後ろへ投げれば投げた側も同じ大きさで逆向きに押されます。

読み方の目安

力を見積もるときは、入った勢いと出た勢いの差を取ります。ホースの水が横へ曲げられているなら、曲げたぶんの勢いを誰かが与えており、その反作用がノズルを押し返しています。向きの変化が大きいほど受ける力も大きく、真横へ曲げれば真横へ押されるという向きの対応まで、そのまま使えるのが利点です。

どこで使われているか

ロケットもプロペラも、流体を後ろへ投げることで前へ進みます。投げた相手が空気か水かは違っても、返ってくる押し返しは同じ理屈です。翼が浮くのも同じ筋で、揚力は空気を下向きに曲げた反作用として上向きに現れます。翼のまわりでは速度の差と圧力の差が同時に起きていますが、片方がもう片方の原因ではありません。

はまりどころ

保たれるのは向きを持った量なので、速さの数字だけ足しても合いません。左へ行くぶんと右へ行くぶんは打ち消し合います。摩擦や壁から受ける力がある範囲を切り出したなら、そのぶんは外からの力として別に数えます。どこに線を引いて閉じるかで答えが変わるため、範囲を先に決めてください。

解説動画: 【99%が勘違い】ロケットは空気を押していない/真空で加速する「本当の理由」/空気こそが最大の敵/NASAも悩む「背圧」の正体/夜空の見方が変わる宇宙工学/世界の仕様書ラボ

空気を押して飛んではいない: ロケットが後ろの空気を押して進んでいるなら、空気の無い宇宙に出た瞬間に止まってしまうはずだ。ところが実際は逆で、真空でこそ本来の性能が出る。プロペラ機やジェット機は空気を後ろへ送って進み、翼で空気を受け止めて浮くが、ロケットが目指すのは高度100km以上、空気の分子すらほとんど無い場所になる。

燃料の隣に酸化剤を積む: 物が燃えるには酸素がいる。ジェットエンジンは外の空気から酸素を得るが、ロケットは燃料と同じくらい大きな酸化剤のタンクを胴体に抱えている。中身は液体酸素など、いわば酸素の濃縮パックだ。外の環境に一切頼らないから、空気の無いところでも燃料を燃やし続けられる。

氷の上でボールを投げる: 摩擦がまったく無い氷の上では、地面を蹴っても滑るだけで前へ進めない。唯一の方法は、手に持ったボールを思い切り後ろへ投げることだ。重いほど、投げる速さが速いほど自分は速く進む。ロケットも同じで、燃焼ガスの分子を秒速数kmで後ろへ連射しているだけ、と動画は言い切る。

捨てるほど身軽になる: 打ち上げ直後は9割近くが燃料と酸化剤で、動き出しはゆっくり。噴射でタンクが空くほど機体は軽くなり、同じ推力でも加速しやすくなる。地球を回る人工衛星になるには秒速7.9km、時速なら約28,440kmが要る。新幹線の100倍、弾丸の8倍以上の速さだ。

地上では背圧に押し返される: 地上では大気圧が噴射口を外側から押し返す。これが背圧で、ガスの勢いが殺される。何も邪魔しない真空では推力が10〜20%ほど上がる。ノズルは途中がくびれて出口が広がるラバール・ノズルで、熱を速度に変えて秒速4km以上で吹き出させる。軽い分子ほど速く投げられるので水素が選ばれる。