質量保存

基本の考え方

流れても、ものの総量は増えも減りもしない

何を言っている?

ものは勝手に増えも減りもしない、という土台の約束です。ある空間の中身が増えたなら、そのぶんだけ外から入ってきたはずだと考えます。形は変わっても量は残るので、渦を巻いても、細かい泡に分かれても、よく混ざり合っても、追いかけるべき総量は動きません。流れの話がどれだけ込み入っても、最後はここへ戻ってこられます。

読み方の目安

数として読むより、収支が合うかの検算に使います。計算や実験で出入りの帳尻が合わないなら、見落とした通り道があるか、測り方が間違っているかのどちらかです。数パーセントの食い違いなら測定の誤差として扱えますが、桁が違えば筋書きそのものを疑うのが順当で、直す前に原因を探すほうが早く済みます。

どこで使われているか

気象の予報も、部屋の換気量の見積もりも、川の流量の観測も、まずここから組み立てます。連続の式は、これを一本の管に当てはめて書き直した形にあたります。工場の配管では入口と出口の計量値を突き合わせ、差の出たところから漏れを探します。在庫の棚卸しと同じ考え方だと思えば、そう遠くありません。

はまりどころ

蒸発や結露のように姿かたちが変わる場面では、水として消えても水蒸気として残っているだけです。消えた、湧いたと感じたときは、数えている範囲が狭すぎないかを先に疑ってください。燃えても原子の総量としては変わらず、灰と煙と水蒸気に分かれて外へ出ていっているだけです。

解説動画(海外・英語): Fluid Mechanics: Topic 7.1 - Conservation of mass for a control volume/CPPMechEngTutorials

追いかける見方と、場所で見る見方: はじめは流れの中のひとかたまりに目印を付けて追う。これが系で、時間が進んでも質量は変わらない。もう一つ、空間の同じ場所に固定した箱=検査体積を置き、その境目を検査面と呼ぶ。時間が経つと系は箱から流れ出て重ならなくなる。そこで同じ物を追う見方から、決まった場所を出入りする量を見る見方へ翻訳が要る。

レイノルズ輸送定理でつなぐ: 翻訳の道具がレイノルズ輸送定理で、着目する量に質量を入れると、箱の中にたまっていく速さと、検査面を通って正味で出ていく量の合計がゼロという形になる。この形は固定された箱でも、一定の速度で動く箱でも、変形する箱でも成り立つ。ただし速度は必ず検査面から見た相対速度を使う。

定常なら入る量と出る量が等しい: ポンプ・タービン・圧縮機・配管といった装置の大半は定常で動き、大きく変形もしない。すると箱の中の質量は時間で変わらないのでたまる項が消え、検査面を通る正味の流れもゼロになる。意味は単純で、入ってくる質量の速さと出ていく質量の速さが等しい。動画は入口2つ・出口3つの装置でこれを組み立てる。

入口が負・出口が正になる理由: 検査面の法線は外向きにとる。入口では流れの向きと法線のなす角が180度なので符号が負、出口では0度なので正になり、入口の和と出口の和が等しい形へまとまる。壁の部分はすべりなし条件で速度がゼロだから落ちる。符号は決めごとではなく向きの計算から出てくる。

平均速さと体積流量: 断面の速さは一様ではなく、壁でゼロ・中心で最大の放物線形になることもある。そこで、同じ体積流量を生む一様な流れの速さを平均速さと決めて置き換える。この速さは箱に張り付いた視点から見た速さ。密度が入口と出口で同じなら密度は約分され、入口と出口で体積流量の和が等しいまで簡単になる。