エネルギー保存
基本の考え方
速さ・高さ・圧力が姿を変えて釣り合う
何を言っている?
流れが持つ速さのぶん、高さのぶん、押し合う圧力のぶんは、互いに姿を変えながら合計として保たれるという見方です。速くなればどこかが減り、高く持ち上がればまたどこかが減ります。ただし釣り合うのは同じひと筋の流れをたどったときで、途中で羽根やポンプが仕事を足せば合計そのものが増えます。ベルヌーイの式は、この考えを摩擦のない一本の筋道に沿って書き下した形です。
読み方の目安
速さが二倍になると速さのぶんは四倍にまで増え、効きが急に強くなるのが読みどころです。風が少し強まっただけで看板が飛ぶのは、この増え方のためです。高さのぶんは水柱の高さとして測れ、圧力のぶんは押す強さとして測れるので、三つを同じ土俵に並べて、どれが効いているかを比べられます。
どこで使われているか
ポンプや送風機に要る力の見積もり、長い配管でどれだけ圧力を失うかの計算、水力発電で落差がどれだけ稼げるかの評価などに使われています。設計では、まず持ち分の合計を出し、途中で失うぶんを引いて、出口に残る力を見ます。やかんが鳴るときの音も、流れの持ち分のごく一部が音へ移った結果で、鳴っているぶんだけ勢いは減っています。
はまりどころ
実際には摩擦で熱へ逃げるぶんがあるので、合計は減ったように見えます。減ったのではなく温度として薄く散っただけですが、集め直して元へ戻すことはできません。長い配管ほど失う量は積み上がり、曲がりや継ぎ目のたびに少しずつ削られます。剥離が起きる場所や渦が立つ場所では逃げ方が大きく、単純な足し算はもう合いません。
解説動画: 流体力学第17回 ベルヌーイの定理とその意味【機械工学】(コメント欄にて訂正あり🙌)/単位が取れる機械工学【メカニカル大学】
ベルヌーイは保存則: ベルヌーイの定理の正体は流体のエネルギー保存則だ、と最初に言い切る。高校で習った運動エネルギーと位置エネルギーの和が一定という話を、ジェットコースターで復習する。上がって下がって速さが変わっても、和はどこを取っても同じ。流体ではここに三つ目の項が加わる。
三つ目は圧力の項: 流体の式では、運動エネルギーと位置エネルギーに圧力エネルギーが並ぶ。質量だった所が密度に替わるだけで、形は物体の式と同じ。なぜ圧力がエネルギーの式に入るのかが引っかかる所だと講師も認め、単位の話と意味の話に分けて答えていく。
パスカルはジュール: まず単位。圧力の単位を力を面積で割った形に開き、分母と分子に長さを一つずつ掛ける。すると分子が力かける長さ、つまり仕事の単位になり、全体は体積あたりのエネルギーと読める。だから圧力がエネルギーの式に並んでいてよい、という段取り。
圧力は仕事の能力: 次に意味。位置エネルギーが重力が仕事をする能力なのと同じく、圧力エネルギーは圧力による力が仕事をする能力だとする。断面積の決まった管で一秒間に流体が進む距離は流速そのもの。圧力と面積と流速を掛けた仕事を、押しのけた分の質量で割ると、あの項が出る。
成り立つのは流線上: 導出は、前回やった流体の運動方程式を一本の流線に沿って積分するだけ。だからこの式は定常で粘りの無い流れの、同じ流線の上でしか使えない。まとめでは密度で割った形と割らない形を並べ、見た目が違うだけで同じものだと念を押す。