米ぬか

麹と種菌

米ぬかは、糠床の本体そのものであり乳酸菌や酵母の餌にもなる材料で、栄養が多いぶん傷みやすい特徴があります。

どんなもの?

玄米を精米したときに削られる外側の部分(外皮や胚芽)です。糠床の本体そのものであり、乳酸菌や酵母の餌にもなります。糠床は、米ぬかに塩と水を混ぜた床に野菜を漬けて発酵させるものです。精米のあとから傷みやすく、保存のしかたで鮮度が仕上がりを左右します。精米の機械的な破砕で脂の粒を包む膜が壊れ、隔てられていたリパーゼが脂に触れる、と総説は説明しています。

選び方

生ぬかは精米のあとリパーゼが脂を分解し、保存中に遊離脂肪酸が増えます。炒りぬかのように乾熱で加熱した米ぬかは、リパーゼ活性が少なくとも13倍下がり、同じ25℃・60日の保存で遊離脂肪酸の増加は16〜61%にとどまりました(Rashid ら 2022)。古くなったぬかは油が酸化して、独特の嫌なにおいが出ます。手に取って、粉っぽい香ばしさ以外の匂いがしたら使わないでください。

使い方のコツ

床を立ち上げるときは米ぬかの重さに対して塩12.5%前後から始めます(Ono ら 2015 の研究用の糠床と同じ比率)。動画(East Meets Kitchen)は、くず野菜を入れて約5日ごとに取り替え、毎日上下を返しながら1〜2週間待つと説明しています。足し糠のときは、塩も一緒に足す。ぬかだけ足すと塩分が薄まり、守りが弱くなります。研究(Sugiura ら 2024)でも、足し糠の日に塩と水を加えていました。

手入れ・注意

研究(Rashid ら 2022)では、25℃で60日保存すると、無処理の米ぬかの遊離脂肪酸は26から160 mg/100gへ、約6倍に増えました。総説(Zhou ら 2025)は、水分活性(水の動きやすさ)が0.4を超えると、遊離脂肪酸が急に増えると説明しています。湿気を入れないよう密閉して保存するのが基本です。乾きすぎも、酸化を進めると総説は述べています。

出典

  1. 論文・英語 Ono H ほか(Bioscience of Microbiota, Food and Health)(2015) Effects of Japanese pepper and red pepper on the microbial community during nukadoko fermentation
  2. 論文・英語 Sugiura S ほか(Biosci Microbiota Food Health)(2024) Impact of vegetables on the microbiota of the rice bran pickling bed Nukadoko
  3. 論文・英語 Muhammad Tayyab Rashid ほか(Foods)(2022) The Effects of Thermal Treatment on Lipid Oxidation, Protein Changes, and Storage Stabilization of Rice Bran
  4. 論文・英語 Lu Zhou ほか(Foods・総説)(2025) Non-Thermal Stabilization Strategies for Rice Bran: Mechanistic Insights, Technological Advances, and Implications for Industrial Applications
  5. 動画・英語 East Meets Kitchen(YouTube チャンネル) JAPANESE FERMENTED PICKLES IN RICE BRAN | NUKAZUKE 糠漬け
  6. 動画 野菜作りの教科書 Vegetable Beginners Guide(YouTube チャンネル) 米ぬかの効果と使い方

解説動画: 「煎りぬか」づくりにチャレンジ/Cbook LP2109

精米したての生ぬか: 米屋で精米したときに出るぬかを使って、煎りぬかを作る回です。搗きたてなので鮮度がいいと話し、米ぬかにも新鮮かどうかの差があるという前提を置きます。精米したてのぬかが手に入るのは米屋ならではだ、とも言い添えます。教わる相手は米の専門家で、実はフライパンでいるだけでできてしまうと聞いて驚くところから、実演が始まります。

弱火で五分ほど炒る: 作り方はフライパンに入れて弱火で炒るだけです。目安は5分ほど、ただしフライパンの大きさによると断っています。静かに動かし続けるうちに、動かすたびに香ばしい香りが立ちのぼってくる。見ているあいだは色の変化が分かりにくいのですが、途中の3分ほどですでに色づき始めているのだと教わります。

ダマは水分のしるし: 炒り始めに団子のような塊ができるのは、ぬかの水分が多いからだと説明されます。玉が出てきたら潰しながら炒るのがこつで、進むにつれて塊は減っていきます。水分を飛ばすと保存性が良くなるのが煎りぬかの持ち味で、炒り上がりはそのまま食べられるほど香ばしく、ほんのり甘いといいます。できたてを味見して、香りの良さに驚いてみせます。

焦がさず、密閉して: 後半はフライパンが熱くなって焦げつきやすいので、最後は一度火を止めて仕上げるよう勧めます。そして米ぬかはとても傷みやすいものなので、買ってきたぬかも炒ったぬかも密閉容器に入れて冷蔵庫か冷凍庫で保管します。自分で炒ったぬかも同じ扱いでいい、と念を押します。