サワードウ(自家製パン種)

パン・生地

サワードウ(自家製パン種)は、粉と水を混ぜて置くだけで、野生の酵母と乳酸菌が増えて育つ発酵種です。

どんな発酵?

粉と水を混ぜて置くだけで育つのは、酵母と乳酸菌に酢酸菌も加わった小さな生態系です。菌の多くは空気中ではなく粉そのものに付いていると、培養法と非培養法の両方で調べた総説(De Vuystら, 2009)は説明しています。世界4大陸の種500個を比べた研究では地域差はほとんど見られず、見落とされがちな酢酸菌がふくらむ速さと香りの違いを主に説明していたと報告されています(Landisら, 2021)。

材料

全粒粉か強力粉と、塩素を抜いた水を同量ずつ。この段階で塩は入れません。粉の種類で育つ菌の顔ぶれが変わる—— 小麦粉3種で1か月種を追った米国の研究では、全粒粉はCompanilactobacillus属、強力粉はLevilactobacillus属の乳酸菌が優勢になり、酵母は粉によらずKazachstania属が主役になったと報告されています(Taheriら, 2026)。

仕込み方

粉と水を同量(1:1)で混ぜ、ふたを軽くのせて常温に置き、毎日半分を捨てて同量を足す(かけ継ぎ)のが基本です。元パン職人のBrian Lagerstromは、この過程を「野生の菌を捕まえる段階(2〜3日)→増やす段階(3〜4日)→毎日の餌やりで維持する段階」の3つに分けて説明しています。水はぬるま湯ではなく常温を使う—— Natasha's Kitchenは、温かい水だと発酵が急ぎすぎて菌が疲弊すると話しています。

見極めと失敗

健康な種は、フルーティーかヨーグルトのような酸っぱい香りがします。接着剤やマニキュアのような刺激臭は、餌が足りず酸が出すぎたサイン—— かけ継ぎの頻度を上げてください。4〜5日目あたりで一度ふくらみが弱まっても、続けて餌をやれば問題ないと、Natasha's Kitchenは話しています。ピンク、オレンジ、黒、緑の色が出たら、種ごと捨てて作り直します。灰色の液体(フーチ)はアルコールで、混ぜ込めば大丈夫です。

出典

  1. 論文・英語 De Vuyst L, Vrancken G, Ravyts F, Rimaux T, Weckx S(2009) Biodiversity, ecological determinants, and metabolic exploitation of sourdough microbiota
  2. 論文・英語 Landis EA ほか(2021) The diversity and function of sourdough starter microbiomes
  3. 論文・英語 Taheri S, Schwarzkopf E, Berman HL ほか(North Carolina State University)(2026) The role of flour type and feeding schedule on the sourdough microbiome
  4. 動画・英語 Natasha's Kitchen Easy Sourdough Starter Guide: Just Flour & Water!
  5. 動画・英語 Brian Lagerstrom Easy Sourdough Starter Guide

解説動画: [ENG SUB]サワードウ種の作り方 天然酵母 ルヴァン種 Easy Sourdough Starter/海外在住料理人 Otsukare Cooking

天然酵母とは: サワードウは5000年以上の歴史を持つ天然酵母で、野生のイースト菌の集合体。市販のドライイーストの「ご先祖様」にあたる存在だと説明している。日本ではカンパーニュを作るときによく使われる。

水と容器: 塩素を飛ばした水を使う—— ミネラルウォーターでもよいし、水道水なら汲み置きして一晩寝かせれば塩素が抜ける。容器は煮沸消毒したガラス瓶か陶器。プラスチックや金属はあまりよくないとされる。

1日目の仕込み: まず空の容器の重さを量っておく—— こうすると、あとから「総重量−容器の重さ」で中身の量がすぐ分かる。そこへ水40g・強力粉20g・全粒粉20gを入れて混ぜる。これが空気中の野生イーストの住処になる。ハンドタオルと輪ゴム、または蓋を軽く乗せて封をする—— 空気は通しつつ、異物や虫は入らないようにするため。常温に置く。

2日目以降のかけ継ぎ: 表面に泡が出てきたら餌やりのタイミング(出ていなければもう少し待つ)。餌は現存の量の2倍—— 動画では水80g・強力粉40g・全粒粉40g を加えている。全体で4日ほど、1日あたりの作業は10分程度。完成の目安は「熟しすぎたバナナのような、少しアルコールの入った甘ったるい匂い」がしたとき。