イドゥリ・ドーサの生地

パン・生地

イドゥリ・ドーサの生地は、米とウラド豆をひいて、麹もイーストも加えずに自然発酵させたものです。

どんな発酵?

南インドの、米とウラド豆をひいて発酵させた生地です。蒸せばイドゥリ(ふわふわの蒸しパン)、薄く焼けばドーサ(クレープ状)。イーストも麹も加えず、豆と米に付いている菌だけで自然に発酵します。1965年の研究では、生地をふくらませる炭酸ガスを作っていたのは酵母ではなく、ロイコノストック(Leuconostoc mesenteroides)という乳酸菌だったと報告されています。

材料

米(インディカ米が向く)とウラド豆(皮なし黒レンズ豆)、塩、水。米3に対して豆1が一般的。フェヌグリークを少量加えると発酵が安定するとされます。インドの研究チームが米とウラド豆の比率を2:1・3:1・4:1で比べたところ、3:1が最も良い結果になったと報告しています。ある研究では、粉に対して塩2%を加えて仕込んでいました。

仕込み方

米と豆を別々に4〜6時間浸水し、それぞれ水を加えてなめらかにすりつぶして合わせます。25〜30℃で8〜12時間。生地が倍にふくらんで気泡が立ち、酸味のある香りがしたら完成。塩は発酵後に加えます。ある研究では、生地の粘度(流動性)は発酵7時間でピークに達し、その後のpHは4.2〜5.9の範囲で変化したと報告されています。

見極めと失敗

表面に細かい泡が立ち、混ぜるとふわっとしていれば成功。寒い季節はふくらまないので、保温が要ります(オーブンの発酵機能や発酵器)。酸味が強くなりすぎたら冷蔵へ—— ドーサ向きの生地になります。発酵後の生地は冷蔵で2〜3日。スターター菌を使ったインドの研究では、良く発酵した生地でpH4.3〜4.4、酸度2.4〜3.5%という値が報告されています。

出典

  1. 論文・英語 Mukherjee SK, Albury MN, Pederson CS, Van Veen AG, Steinkraus KH(1965) Role of Leuconostoc mesenteroides in Leavening the Batter of Idli, a Fermented Food of India
  2. 論文・英語 Sridevi J, Halami PM, Vijayendra SVN(2010) Selection of starter cultures for idli batter fermentation and their effect on quality of idlis
  3. 論文・英語 Ghosh D, Chattopadhyay P(2011) Preparation of idli batter, its properties and nutritional improvement during fermentation

解説動画(海外・英語): How to Make Perfect Idli & Dosa Batter (the science of fermentation)/Canada Tried and Tested

ウラド豆と米の割合: 材料はウラド豆と米で、割合は豆1に対して米4。割った豆でも問題なく作れたと言います。ドーサは米の種類に融通が利き、試した3種はどれもうまくいった一方、イドゥリは気難しく、専用の米が要る。両方に使う生地にするなら、その米を選ぶよう勧めます。カナダでも同じ仕込みで作れる、という前置きから始まります。

別々に浸けて挽く: 豆と米は別々に浸す。豆のほうにはフェヌグリークをひとつまみ——発酵を助けるからです。残りご飯があれば、米を浸ける前に少し加えておくとよいとも言います。5〜6時間浸けたら、冷やした水に替えてから挽く。豆はなめらかなペーストに、米は量が多いので何回かに分けて挽き、スプーンから落ちる濃さに揃えます。水は少しずつ足し、ゆるくしすぎないようにします。

オーブンの明かりで: 合わせた生地は手で混ぜてから、容器に蓋をしてオーブンに入れます。水が足りなければここで足します。点けるのは庫内の明かりだけで、オーブンそのものは加熱しません。スイッチはライトのほうだけ、と繰り返します。その灯りの温かさで生地を温めるという手です。最低10時間置いて朝に取り出し、気泡が見えていれば発酵ができた印です。

使う分だけ取り出す: 発酵した生地は、いま焼く分だけすくい、残りは触らない。次のイドゥリがふわっと仕上がるための要点だと言います。一度に使い切るつもりなら、そこは気にしなくてよい。型に流す前に、蒸し器に水を張って用意しておきます。塩は蒸す直前に好みで加え、先に塩を入れてしまわない段取りです。

蒸すか、薄く焼くか: イドゥリは型に油を数滴(さらし・ふきんを濡らして敷けば油は要りません)、四つの型を順に埋めてゆすり広げ、強火で10〜12分蒸します。型に跡を残さず外れれば、しっかり蒸せた印。ドーサは同じ生地を厚い鉄板に流し、内から外へ渦を描くように広げ、縁にも油を垂らして2〜3分ほど焼きます。端が浮いてきたら取り出します。