レーズン酵母(果実の酵母おこし)

パン・生地

レーズン酵母(果実の酵母おこし)は、レーズンなどに付いた野生の酵母を糖水で増やして作る、パン種のもとです。

どんな発酵?

レーズンの表面に付いている野生の酵母を、レーズンと水の中で増やして、パン種の元にするものです。2025年の研究(Hio ら、Scientific Reports)は、レーズンに付いた酵母が、生のぶどうに付いたものより効率よくアルコール発酵すると報告しています。泡が立ち、白ワインのような香りがしてきたら酵母が働いている合図。ここに粉を足して、パン種(元種)に育てます。

材料

オイルコートしていないレーズンを使います。表面の酵母まで油で覆われて、発酵が進まなくなるおそれがあるためです。水はミネラルウォーターより浄水が適しています。レーズン1に対して水3程度(レーズン100gに水300g)。瓶と手は食品用アルコールで消毒します。英語の動画(bake magazine)は、砂糖と麦芽を加えて発酵を早める方法を紹介しています。

仕込み方

消毒した瓶にレーズンと水を入れ、12時間おきに瓶を振って酸素を入れます。25〜30℃が発酵しやすく、冬は室温が低いぶん完成まで長くかかります。3日目ごろから泡が出て、5日目ごろに完成(英語の動画は7日前後)。液だけを濾して冷蔵し、この液と粉を1対1で混ぜ、2倍にふくらんだら同じ量の粉と液を足す作業を2〜3日続けて元種にします。冷蔵庫で一晩休ませると、発酵力がさらに高まります。

見極めと失敗

この液にはアルコールができます。2025年の研究でも、レーズンの酵母がアルコール発酵することが示されています。飲まずパン種に使ってください。アルコール分1度(1%)以上の酒を許可なく造ると酒税法に触れます(→自分で飲むぶんなら、家で酒を作ってもいい)。酢のような匂いが強い、ぬめり、カビ、明らかな悪臭が出たら廃棄。密閉したまま放置すると破裂の危険があるので、毎日ふたを開けてガスを抜いてください。

出典

  1. 論文・英語 Hio M, Murata K, Takase R, Ogura K, Hashimoto W(2025) Spontaneous fermentation of raisin water to form wine
  2. 動画・英語 bake magazine Natural Raisin Yeast Starter
  3. 動画 アトリエキッチン 【初めてのレーズン酵母】覚えたら一生もの!やさしい天然酵母パンの作り方
  4. 動画 ナオキパン 【基本の自家製酵母】失敗しないレーズン酵母の作り方

解説動画: 【自家製天然酵母】元種の作り方(How to make the dough starter)(難易度★★★)/完全感覚ベイカー:独学でパン作りに挑む人へ

液から元種へ移る: 動画は酵母液を起こしたあとの話で、まず果肉を濾して液だけを使います。液のままでは発酵の力が安定しないため、粉を足して扱いやすい形にしたものが元種だと説明します。大事なのは粉と水分の量を把握しておくことで、1対1にすれば100gのうち水50g、粉50gと計算が楽になると述べます。果肉を入れたまま瓶で保存することもできると触れています。

元種に使う粉の話: 粉は準強力粉が向いているとしています。フランスパン用として売られている粉がこれに当たります。理由は灰分が高く、ミネラルが多いぶん酵母が発酵しやすいから。ただし今回は手元に強力粉しかなかったとして、強力粉で進めています。出来上がった種はレーズンらしい香りが残るとも話しています。

かけ継いで力を付ける: 混ぜたら室温で6時間ほど置き、倍の大きさになったら冷蔵庫へ移して休ませてから使います。これを同じ量の粉と水を足しながら三回ほど繰り返すと、短い間隔で発酵する習慣がついて生地がよく膨らむとしています。回数が少ないと膨らむまで時間がかかり、安定しないと述べます。もともと一次発酵に時間のかかる作りなので、種が弱いとそこがさらに延びるという説明です。

傷んだときの見分け: 悪い菌が入ったらどうやって分かるのかという質問がコメントで多かったそうで、動画は匂いで分かると答えます。悪臭やカビという変化になって出てくるので、嫌な匂いがすればすぐ気づくという説明です。逆に良い香りがしているなら失敗ではないという見方を示しています(→腐敗のにおい(酸味との違い))。

パンに使うときの量: かけ継ぎを止めても少しは保存が利くとしたうえで、完成した元種は2週間を目安に使い切り、減った分は粉と水を1対1で足せば増やせるとしています。パンに入れる量は粉に対して30〜40%前後が多く、イーストのレシピから置き換えるときは粉と水を半分ずつ引いて入れ替えると作れると結んでいます。