水分(水分活性)
水分・pH
水分(水分活性)は、食品中で菌が実際に使える自由な水の割合のことで、塩や糖を加えると下がります。
なぜ効くか
水分活性(Aw)は、その食品の中で微生物が利用できる自由な水の割合を示す指標です。塩や砂糖を加えると、水が塩や糖と結びついて菌が使えなくなります—— 塩漬けや砂糖漬けが保存になる理由は、水を「奪う」からです。同じ水分量(%)でも、塩分や糖分の量でAwは変わります—— 「水分を減らす」と「Awを下げる」は同じではありません。
目安
一般的な細菌はAw 0.90以上、酵母は0.88以上、カビは0.80程度でも増殖できます。カビが最も乾燥に強い—— 干物やジャムにカビが生えるのに細菌が増えないのはこのためです。乾燥だけで守れる相手は限られます。バージニア工科大学のExtensionは、大腸菌・サルモネラで0.95、リステリア菌で0.92、ボツリヌス菌はA型・B型で0.94を増殖の目安に挙げ、Aw0.85未満を「水分活性コントロール食品」の境目としています。
外れたときの症状
水が多すぎるとカビと腐敗のリスクが上がります。糠床が水っぽくなったら、足し糠をするか、キッチンペーパーや専用の器具で水を吸わせます。逆に乾きすぎると発酵が鈍り、床が硬くなって混ざりにくくなります。カビの中には水分活性が低い環境に適応した種(好乾性カビ)もあり、ジャムや干物で他の菌が増えなくても油断はできません。
出典
- 公的機関・英語 Hockman E, Wright MS, Hamilton AM, Virginia Tech Department of Food Science and Technology(2024) Interpreting Water Activity Lab Results for Food Producers
- 論文・英語 Pócsi I, Dijksterhuis J, Houbraken J, de Vries RP(2024) Biotechnological potential of salt tolerant and xerophilic species of Aspergillus
解説動画: フルーツケーキで学ぶ水分活性という考え方/Abbey the Food Scientist
水分活性とは: 食品科学者が市販のフルーツケーキを題材に、水分活性は食品に入っている水の量ではなく、微生物や酵素が使える自由な水の割合を示す指標だと説明している。0が完全な乾燥、1が純水という尺度で測る。砂糖や塩の分子は水と手をつなぐように結びついて離さないので、食品の中に水があっても菌には使えない水になる。はちみつやジャムが長持ちするのも同じ理屈だとしている。
どこまで下げると何が止まるか: 水分活性が0.9を下回るとほとんどの細菌が増えられなくなり、0.8まで下げると酵母が、0.7まで下げるとカビも増えなくなると説明している。生の果物や野菜は0.95〜0.98と高いので傷むのが早く、パンは0.9ほどで日持ちは1週間程度、パスタやクラッカーは0.5以下。フルーツケーキは推測としておよそ0.65で、しっとりしていても中の水は結合していると述べている。
下げるやり方: 下げ方は材料を変えるか、作り方を変えるかの二通りだとしている。砂糖や塩を加えると水と結びついて自由な水が減る——市販の加工食品が家庭の料理より甘く塩辛いのは、味の好みに合わせたのではなく保存のためだという。もう一つは乾燥させて水そのものを抜く方法で、水分活性0.98ほどのぶどうも、干しぶどうにすると0.5〜0.6まで下がる。ただし細胞の構造が壊れるので食感は変わる。
壁は一枚でなく重ねる: 洋酒に浸してあるフルーツケーキを例に、アルコールは微生物の細胞膜に入り込んで壊し、酵素の働きも止めると説明している。狙いは、砂糖で水分活性を下げた上にもう一枚の壁を足すこと。これをハードルテクノロジーと呼び、大きな対策を一つだけ立てるより、小さな壁を何枚も重ねたほうが、どれかが崩れても守りが残るという考え方だとしている。