pH(酸性度)

水分・pH

pH(酸性度)は、発酵が進んで酸が増えるほど下がり、ほとんどの腐敗菌や食中毒菌が増えられなくなる指標です。

なぜ効くか

乳酸菌や酢酸菌が酸を作ると、pHが下がって酸性になります。酸性の環境では、ほとんどの腐敗菌と食中毒菌が増えられません。つまり発酵は、進むほど自分自身を守る仕組みを持っています。最初の数日がいちばん危ないのはこのためです。pHが低いことと、酸っぱさの強さは同じではありません。YVCWine(ワイン醸造の授業動画)は、酸には酵母を働かせ雑菌から守る役目もあり、pHと酸の量を示す滴定酸度は別の指標だと説明しています。

目安

低酸性食品はpH4.6より高い食品を指し、ボツリヌス菌による家庭の缶詰めの食中毒の主な原因になる、とCDCは説明しています。ヨーグルトは約4.0〜4.6、キムチは熟成すると4.0台、酢は約2.5〜3.0、ワインは2.9〜3.9(YVCWine)。発酵食品の多くは、この安全域に自然に入っていきます。この基準はもともと缶詰めの分類のためのものですが、発酵でも酸が効いているかの目安になります。

外れたときの症状

酸が十分に出る前の段階(仕込み直後)が最もリスクが高いので、この時期は温度と衛生に気を使ってください。スターター(種となる発酵物)を使うのは、最初から酸を持ち込んで危険な期間を短くするためでもあります。酸っぱくならないまま日数が経ったら、発酵ではなく腐敗が起きている可能性を疑ってください。

出典

  1. 公的機関・英語 Centers for Disease Control and Prevention(2024) Home-Canned Foods | Botulism
  2. 動画・英語 YVCWine Measuring Titratable Acidity in Wine

解説動画: pH4.6を境に変わる、家庭の瓶詰めの処理方法/ママちゃまのアメリカンライフ

pH4.6という境目: 家庭で食品の瓶詰めを作るときは、まず食品のpH値を調べてから処理方法を決めなければいけないと説明している。米国で正式に推奨されているのは沸騰水を使う方式と瓶詰め専用の圧力鍋を使う方式の2つで、pH4.6を境に、それより低い酸の強い食品と、それより高い酸の弱い食品とで同じ瓶詰めでも処理方法が変わる。米国農務省が推奨する家庭用瓶詰めの本を典拠にしている。

酸が強い側: レモン、りんご、プラム、ブラックベリー、ザワークラウトなどは酸が強い側に入り、摂氏100度の沸騰水を使う方式で処理できるとしている。トマトといちじくはpH4.6より少し高いが、クエン酸やレモン汁を加えてpH値を調整すれば同じ沸騰水方式で安全に処理できるという。酸を足すこと自体が、安全に処理するための操作になっている。

酸が弱い側と、ボツリヌス菌: 野菜全般と牛肉・豚肉・鶏肉・魚介類、スープは酸が弱い側で、熱湯を使う沸騰水方式ではボツリヌス菌をなかなか壊せないと述べている。温度が高いほど壊れやすくなるので、瓶詰め専用の圧力鍋を使い摂氏116〜121度まで上げる圧力方式が要る。普段の料理で使う圧力鍋とは別物だという。

やりがちなミス: 酸の弱い食品を沸騰水方式で安全に処理しようとすると7〜11時間かかるという数字を挙げ、短い時間で済ませている他の動画を真似るのは自己責任で、素人には安全かどうか判断できないと釘を刺している。食品のpH値も必要な処理時間も手元では分からないので、安全性が確認されたレシピどおりに作るのが前提。