攻略 | オトモドリンク&イーツ

自家製の調味料で、いつもの料理を作り替える。

自家製の調味料を料理に回すときは、塩の量、漬ける時間と場所、火の入れ方の順に決めます。塩麹や醤油麹は、塩と甘みとうま味を一度に足す調味料です。先に、塩として入る量をgで数えておくと、レシピのほかの塩や醤油を減らす量が決まります。

塩麹
塩麹写真: Forrest O. / CC BY-SA 2.0
醤油麹
醤油麹図: オトモシリーズ

塩の量は、配合と成分表から出します。市販の塩麹14点の平均は食塩11.0%・還元糖21.9%で(前橋ら 2015)、塩麹の項目の配合(米麹200g・塩60g・水250ml)なら約12%です。肉の重さの10%の塩麹を塗れば、塩はおよそ1%入ります。味噌は淡色辛みそで100gあたり食塩相当量12.4g、醤油はこいくちで14.5gあります(日本食品標準成分表)。置き換えるときは塩の量をそろえ、塩麹で漬けた肉にさらに塩を振る二重がけを避けます。

味噌
味噌写真: wilbanks from Shop of boiled beans, side dishes and miso, Adzumaya Food Shop in Nishiki Ichiba, Kyoto / CC BY-SA 2.0
醤油
醤油写真: 국립국어원 / CC BY-SA 2.0 kr

漬けるのは冷蔵庫の中です。家庭の冷蔵庫は10℃以下に保ち、肉や魚は袋や容器に入れて、汁がほかの食品にかからないようにします(厚生労働省)。豚ロースに肉の重さの10%の塩麹を塗って4℃で一晩漬け、70℃で1時間加熱した実験では、漬けない肉より遊離アミノ酸の総量が2.3倍になり、官能評価のすべての項目で上回りました(阿部ら 2018)。塩を含む漬け液の肉は、塩の無い液の肉より加熱で減る重さの割合が平均で約6%低く、やわらかさとジューシーさは麹の酵素と塩の両方から来ています。長く漬けるほどよいとは限りません。酵素を足して働きを強めた塩麹では「やわらかいが口に残る」という評価も出ています。

麹の酵素が働くのは、漬けている間です。塩麹を75℃で1時間熱すると酵素は働きを失い、55℃で6時間温めただけでも、でんぷんを分ける酵素などの働きは6〜7割に落ちます。市販品の中には、加熱殺菌されたとみられ、酵素の働きが弱いものもあります(阿部ら 2018)。酵素を生かす場所は火に入る前の漬け時間で、焼いたり煮たりしたあとに酵素が残ることは当てにしません。

火の入れ方は、糖とにおいで決めます。塩麹は高温で熱すると褐変するので、焼く前に表面の塩麹をぬぐい、火を弱めにして中まで通します。味噌は煮立てるほど香りが抜けます。味噌を溶いた液を15分加熱すると、70℃までは甘い香りが増え、80℃以上では元の香りの多くが消え、98℃ではほとんど感じられなくなりました。98℃で30分煮ると「むかっとくるような」「すっぱい」匂いに変わっています(菅原・保坂 2009)。味噌は火を止める直前に溶き入れ、溶いたあとは煮立てません。

やりがちな失敗は、塩の二重がけと、漬けた肉の常温放置と、味噌汁の温め直しで煮立てることの三つです。三つとも、塩の量・冷蔵・火加減を先に決めておけば防げます。溶いてすぐ火を止めた味噌汁は、甘くおだやかな香りが立ちます。

出典

  1. 論文 前橋健二ほか(東京農業大学・糀屋本店)(2015) 塩麹製造での熟成温度が残存酵素活性に及ぼす影響
  2. 論文 阿部真紀・澤山茂・秋田修(実践女子大学)(2018) 塩麹漬けが豚ロース肉の調理性に及ぼす影響
  3. 論文 菅原悦子・保坂由貴子(岩手大学)(2009) 加熱による味噌汁の香気成分の変化
  4. 公的機関 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 淡色辛みそ
  5. 公的機関 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 こいくちしょうゆ
  6. 公的機関 厚生労働省 家庭での食中毒予防