ツキノワグマ
危険生物(動物・ヘビ)
本州の山に普通にいるクマ
見分け方
本州と四国に分布し、体長110〜150cm、体重50〜120kgほど。胸の白い月の輪が名前の由来ですが、模様のない個体もいます。ドングリが不作の年は里まで下り、キャンプ場の周辺にも現れます。
危険・注意
本来は臆病ですが、子連れの母グマや、食事中に不意に出会った場合は攻撃してきます。顔や頭に大けがを負う事故が毎年起きており、残飯や生ゴミのにおいが最大の誘因になります。
出会ったら
歩くときは鈴や話し声で存在を知らせ、食料とゴミは車内にしまうか木に吊り下げて保管します。出会ったら背を向けて走らないで、相手を見ながらゆっくり下がります。襲われたら顔と首を守ってうつ伏せになります。
解説動画: クマに出会わない歩き方と、遭遇したときの対処/登山のYouTuberりょーじ
概要: 本州と四国にすむのがツキノワグマで、北海道のヒグマとは分けて紹介される。雑食で植物や虫を食べることが多く、動物の死骸をあさることもある。体は大きいが基本は臆病な性格で、人の気配を感じると自分から離れていくのが本来の習性。ただし人の生活圏に居着いて人慣れした個体や、餌を与えられて人間を食べ物と結びつけた個体は危険になる。クマ鈴は意味がないとも言われるが、逃げる習性がある以上音を出すこと自体は有効だと説明している。
出会わないために音を出す: 対策で最も大事なのは出会わないこと。まず人がいると知らせるために鈴・ホイッスル・ラジオ・同行者との会話で音を出す。人が多いルートでクマが出にくいのは常に音があるため。霧の日・早朝・日暮れ前・沢沿い・強風・雨の日は音がかき消されて伝わりにくく、鉢合わせの危険が上がるので、より意識して音を出す。単独行は会話がない分リスクが高い。ほかに、動物の食べかけの死骸は食べに戻ってくる可能性があるので近づかない、食べ物の匂いを出さないことを挙げている。
遠くで見かけたとき: 遭遇したときの基本は驚かさず、走らず、ゆっくり離れるの三つ。100mほど離れているなら、気づかれないようにゆっくり後退する。このとき背中を向けず、クマを見たまま下がる。目が合ったのにクマが近づいてくる場合は、人間と認識せず獲物と見ている可能性が高いので、腕を大きく振って人であることを伝える。怖い場面でこれを冷静にやれるかが問題だと話している。
近距離での対処: 距離が近いときはクマの防衛本能を刺激しないことが要になる。大声を出さない、走らない、睨みつけない。クマを見ながらゆっくり後退するのは遠距離と同じで、離れる途中に襲われる可能性もあるため、クマスプレーを持っていればすぐ使える状態に準備しておく。
襲われてしまったとき: クマの初手はブラフチャージと呼ばれる威嚇の突進であることが多く、一度目の突進は直前で止まって引き返すことが多いとされる。その間に木などの障害物を間に挟みながらゆっくり離れる。本気の突進なら、クマスプレーを鼻や目をめがけて使う。持っていない場合は首を両手で押さえてうつ伏せに丸まる防御姿勢をとる。背中はザックがある程度守ってくれる。仰向けになると急所だらけで一撃が致命傷になる。死んだふりではなく、致命傷を避けて凌ぐための姿勢だと説明している。
解説動画(海外・英語): What to do in a Bear Encounter (And How to Avoid One) || REI/REI
この動画について(種の違いに注意): アメリカのアウトドア小売REIによる、クマのいる場所で歩き・泊まり・出会ったときの型の解説。扱っているのはアメリカのクロクマ(ブラックベア)とグリズリー(ハイイログマ)で、日本のツキノワグマとは別種。ただしヒグマはグリズリーと同じ種で、回避・食料の扱い・出会ったあとの原則は共通する部分が多い。種と地域で正解が変わる話なので、日本で行動するときは現地の自治体・管理者の指示を優先する。
歩いているあいだ:会わないための工夫: 大前提はこちらが相手の縄張りに入っているということ。だから自分の存在を先に知らせて、向こうから離れてもらうのが基本。歌う・大きめの声で話す・時々手を叩く。ただし甲高い悲鳴や口笛は、傷ついた動物の声に似ていて逆に寄せてしまうことがある。熊鈴は良い考えではあるが、音量が足りず効果が乏しいことが多いとしている。時間帯も重要で、クマは薄明・薄暮に最も活発なので行動時間をずらす。4人以上のグループだと狙われにくくなる。ベアスプレーを持つならザックのすぐ手の届く位置に付け、使い方を事前に確認しておく。場所によっては持ち込みが禁止されているので規則を確認する。
泊まるとき:匂いのあるものを全部まとめて離す: 野営地にクマを寄せないためにいちばん大事なのは食料と「匂い」の扱い。動画では食料だけでなく日焼け止めや虫よけまで、匂いのあるものを全部ベアキャニスターに入れ、野営地から少なくとも30m(100フィート)以上離している。調理する場所も寝る場所から離す。地域によっては保管場所と調理場所も分けるよう求められるので、規則と管理官の指示を確認する。
見分け方:肩のこぶ・耳・顔の輪郭: 出会ったときの対応は種類で変わるので見分けが要る。クロクマは肩のこぶが無くて肩の線がまっすぐ、耳は背が高くやや尖り、顔の輪郭はまっすぐ。グリズリーは肩に盛り上がり(こぶ)があり、耳は丸く、額から鼻にかけて顔がへこんだ輪郭。毛色は当てにならない(クロクマも茶色く見えることがある)。
出会ってしまったとき: クロクマが近づいてくる場合は、追い払う方向。ベアスプレーを構え、腕を上げて(トレッキングポールがあればそれも掲げて)体を大きく見せ、大きな音を出しながらゆっくり後退する。背中を見せない・走らない。走ると追跡本能を引き出し、獲物として扱われる。それでも近づいてくるならベアスプレーを使い、クロクマに襲われた場合は反撃する(顔・目・首など弱い場所を狙い、とにかく攻撃的に)。グリズリーの場合は逆に、脅威に見えないようにする。低く落ち着いた声で話し、視線を合わせず、ベアスプレーを構える。相手が下がるならこちらも下がる。耳が立ったまま鼻息荒く突進してきて途中で止まるのはブラフチャージで、その場に留まり、低い声を保ち、スプレーを構える。耳を後ろへ倒し、音を立てずに向かってくるのは本気の突進。スプレーを使い、それでも駄目ならうつ伏せになり、両手を首の後ろに当てて背骨を守り、脚を大きく開いてひっくり返されないようにする。スプレーは安全クリップを外し、低めに狙って数回に分けて噴射し、クマがその霧の中を通るようにする。