杮葺

葺くもの

時代: 時代を通じて

薄く割った木の板を重ねて葺きます。厚さは2ミリから3ミリほどで、竹釘で一枚ずつ留めながら少しずつずらし、層を積んで面を作ります。

どんな形か

サワラやスギなどを割った、厚さ2ミリから3ミリの薄い板を重ねる葺き方です。板を数センチずつずらしながら竹釘で留め、幾層も積んで屋根面を作ります。挽かずに割って作るため、木目に沿って水が流れます。奈良県の室生寺金堂、京都府の慈照寺観音殿、神奈川県の円覚寺舎利殿は、いずれも杮葺として知られる建物です。一枚の板ではなく層の厚みで雨を防ぎます。

見分けの決め手

軒先に並ぶ小口の段を数えると分かれます。杮葺では板の木口が細かい階段のように重なり、一段ごとの厚みが目で追えます。屋根面はわずかに毛羽立ち、瓦のような直線の割付はありません。板の厚さが2ミリから3ミリという薄さのため棟や隅の曲がりにもよく沿い、入母屋造の込み入った取り合いでも面がそのまま連続します。

取り違えやすい相手

近いのは檜皮葺と、同じ板葺でも厚い栩葺・木賊葺です。栩葺は1センチから3センチ、木賊葺は4ミリから7ミリ、杮葺は2ミリから3ミリと、厚さで区分されます。遠目では区別がつかず、軒先の段の細かさで見当を付けるほかありません。檜皮葺は板ではなく樹皮なので層はさらに細かく密で、段の一つひとつが目で追えるかどうかが分かれ目になります。

どこに立つと見えるか

軒先を横から、目の高さに近い位置で見られる場所を探します。上から見下ろすと面の色しか分からず、真下からでは段がつぶれます。京都府の慈照寺観音殿のように池越しに眺められる建物では、水面の側から軒の線を横へ追えるので段の細かさが読めます。葺きたては白木に近く、年を経ると灰黒色へ変わるため、色でも葺き替えからの時間に見当が付きます。

読みと表記のゆれ

杮(こけら)と柿(かき)は別の字です。読みは「こけらぶき」で、杮のつくりは縦棒が上から下まで一本で通り、柿は「なべぶた」と「巾」に分かれます。字形が似るうえ書体によっては同じ形に見えるため、「柿葺」と書かれた資料も多くあります。劇場の「こけら落とし」の「こけら」も、木の削りくずを指すこちらの字で、屋根の名と同じ由来をもちます。