檜皮葺

葺くもの

時代: 平安

ヒノキの樹皮を重ね、竹の釘で留めて葺きます。瓦や板と違って屋根の輪郭がやわらかく、社殿や仏堂の曲がった面をそのまま包み込みます。

どんな形か

材はヒノキの樹皮です。立木から採った皮を少しずつずらし、厚く重ねていきます。一枚ずつ竹釘で下地へ留め、層を積み上げて厚みを作ります。樹皮は薄くしなやかなので、反りや起りの付いた曲面にも素直に沿います。京都府の清水寺本堂、滋賀県の日吉大社西本宮本殿、広島県の厳島神社本社本殿は、いずれも檜皮葺として知られる建物です。樹皮を採る仕事と葺く仕事は分かれています。

見分けの決め手

軒先の切り口を横から見ます。檜皮葺の軒は薄い層が幾重にも重なった細かい縞になり、瓦のような一枚ごとの区切りが出ません。屋根全体の輪郭も薄く、棟から軒までの線がなめらかに続きます。表面は茶褐色で、光を強く返さず沈んだ色に見えるため、遠目でも金属や瓦とは分かれます。反り屋根の曲面に乗るのも、この材のしなやかさによります。

取り違えやすい相手

杮葺、そして茅葺が並ぶと迷います。分かれ目は材で、樹皮か、木を割った板か、草かの違いになります。杮葺は軒先に板の小口が段になって並び、檜皮葺の層はもっと細かく密です。茅葺は厚みがけた違いで、軒の断面が刈り込まれた草の束に見えます。近づけないときは屋根の厚みと、縁の直線の細かさで見当を付け、色の沈み方も合わせて考えます。

どこに立つと見えるか

軒の出た先の、斜め下から見上げます。真下では層の断面が短くなり、真横からでは屋根面の色しか分かりません。回廊のある社殿は軒先へ寄れることが多く、広島県の厳島神社では低い位置から軒の切り口を横へ追える場所があります。葺き替えの直後は明るい赤褐色、年を経ると灰色がかるので、屋根ごとの色の違いも手がかりになります。

読みと表記のゆれ

「ひわだぶき」と読みます。「檜皮葺」「桧皮葺」の両方の表記があり、指定説明では「檜皮葺」です。樹皮を採る職人は原皮師(もとかわし)と呼ばれ、葺く職人とは仕事が分かれます。檜皮葺は杮葺とともに1976年に選定保存技術となり、2020年には「伝統建築工匠の技」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。材と技術の両方が保護の対象です。