茅葺
葺くもの
時代: 時代を通じて
ススキやヨシなどの草を束ね、厚く葺いた屋根です。茅は特定の植物の名ではなく、屋根を葺くために刈る草をまとめて呼ぶ言い方です。
どんな形か
材は草です。ススキ・ヨシ・チガヤなどを束ね、下から順に積み上げて厚く葺きます。束を竹や縄で下地へ締め付け、軒先の断面で数十センチの厚みまで重ねます。棟の納め方には地域差が大きく、草を伏せる形、竹で押さえる形、芝を植える形などが並びます。岐阜県の白川村荻町、京都府の南丹市美山町北、福島県の下郷町大内宿は、いずれも重要伝統的建造物群保存地区です。
見分けの決め手
軒先の断面を見ます。茅葺は葺いたあと軒先を刈りそろえるため、切り口に草の束の断面がそのまま現れます。屋根の厚みもほかの葺き材とは比べものにならず、軒の陰影が深く落ちます。色でも時間が読め、葺きたては明るい金色に近く、年を経ると灰黒色になってコケが乗ります。葺き替えの間隔はススキで15年から20年、ヨシではそれより長いという幅で語られますが、勾配や囲炉裏の煙の当たり方で前後し、一つの数字には定まっていません。
取り違えやすい相手
混同されるのは藁葺です。茅と藁は材が違い、水に対する持ちも違います。稲藁は収穫の副産物で細く柔らかく、ススキやヨシは茎が太くて中が空いており、水を含みにくいとされます。見分けは軒先の断面で、茎の太さと、中が空いているかどうかを見ます。神奈川県の川崎市立日本民家園のような屋外展示では、材の違う屋根が並び、断面を近くから比べられます。
どこに立つと見えるか
妻側の斜め下に立ち、軒の断面と屋根の厚みを同時に視野へ入れます。正面からでは面の色しか見えず、厚みが分かりません。現役の住まいである民家には近づかず、公開されている施設や保存地区の公道から見ます。棟の押さえ方は屋根のいちばん高い所にあるので、坂の上や対岸のように少し高い位置から見下ろせる場所があれば、そこが棟まで読める立ち位置になります。
読みと表記のゆれ
「かやぶき」と読みます。「茅葺」「茅葺き」「萱葺」の表記があり、指定説明では「茅葺」です。茅はカヤという一つの植物ではなく、ススキ、ヨシ、チガヤ、スゲなど屋根に葺く草の総称です。ススキをカヤと呼ぶ地方もあり、地域ごとに指す草が違うため、文献に茅とだけあるときは、何を使ったかまでは決まりません。材まで知るには修理の報告書に当たります。