本瓦葺
葺くもの
時代: 飛鳥・奈良
平瓦と丸瓦を交互に組む、古い形の瓦屋根です。平らな瓦を並べ、その継ぎ目に半円の丸瓦をかぶせて雨の通り道をふさぎます。
どんな形か
平瓦を並べ、隣り合う継ぎ目に丸瓦をかぶせて交互に葺く方法です。平瓦はゆるく反った長方形、丸瓦は半円の筒で、二種類の部材が別々に載るのがこの葺き方の骨格です。日本書紀は崇峻天皇元年、西暦588年に百済から瓦の工人が渡ったと記し、奈良県の飛鳥寺の造営で使われたのが日本での始まりとされます。重なりの分だけ屋根は厚く重くなり、太い小屋組で支えられる寺院や城郭に用いられました。
見分けの決め手
屋根面に走る縦の筋が、独立した半円かどうかを見ます。本瓦葺では丸瓦が平瓦の上に別部材として載るため、太い筋と深い影が交互に並びます。軒先を見上げると、丸瓦の小口である軒丸瓦と、平瓦の先の軒平瓦が一つずつ交互に出ています。兵庫県の姫路城大天守のような大きな屋根では、遠くからでも縞として読めるほど凹凸が立ち、光の向きが変わるたびに筋の見え方も変わります。
取り違えやすい相手
境目が問題になるのは桟瓦葺です。桟瓦は平と丸を一枚に合わせた瓦なので、丸い筋が独立した部材として立ちません。分けるときは軒先へ回り、丸瓦の小口が円として出ているか、波の山として続いているかを見ます。奈良県の元興寺極楽坊本堂に残る行基葺は、丸瓦を上細下太に重ねた古い形で、同じ本瓦葺の中でも並び方が違います。円い口が並べば本瓦葺と覚えておけば足ります。
どこに立つと見えるか
軒先の真下に入り、見上げます。屋根面を横から見ても筋の数しか分かりませんが、軒の下からなら軒丸瓦の円と軒平瓦の帯が交互に並ぶ列がそのまま見えます。門や塔のように四方の開けた建物は回り込みやすく、京都府の教王護国寺五重塔では各層の軒で同じ並びが繰り返されます。正面より隅の斜め下に立つほうが、層の重なりと軒の出まで一度に読めます。
読みと表記のゆれ
「ほんがわらぶき」と読みます。指定説明では送り仮名を省いた「本瓦葺」で、一般の解説には「本瓦葺き」も使われます。平瓦を女瓦(めがわら)、丸瓦を男瓦(おがわら)と呼ぶ古い言い方が残り、部材の名としては今も見かけます。本瓦という一枚の瓦があるわけではなく、平と丸の二種類を組む方式を指す名です。「本葺き」と略した書き方も、瓦の業界では通用しています。