円筒法の板ガラス

窓と開口

時代: 明治以降

筒状に吹いたガラスを切り開き、平らに伸ばした板ガラスです。表面がわずかにうねるため映り込んだ景色が波を打ち、俗に「ゆらゆらガラス」とも呼ばれます。

どんな材料・造作か

溶けたガラスを長い筒に吹き、両端を落として縦に切り開き、炉の中で平らに伸ばした板です。機械で連続して引く後の板と違い、面がわずかにうねり、厚みも場所によって変わります。細かな気泡や筋が残ることもあり、同じ一枚の中で見え方が場所ごとに変わるのが持ち味です。桟で仕切られた小さな寸法に切り、上げ下げ窓や町家の建具に納めました。一枚の大きさは吹いた筒の径と長さに縛られ、大判の板は作れませんでした。

見分けの決め手

ガラスの向こう側ではなく、ガラスに映った景色を見ます。斜めから見て、電柱や庇のような直線が波打って伸び縮みして映れば円筒法の板で、まっすぐ映るものは後のフロート板です。同じ建具で一枚だけ像がまっすぐなら、そこが入れ替わったところだと見当が付きます。北海道の豊平館、長野の旧開智学校校舎、長崎の旧グラバー住宅では、桟で仕切られた一枚ずつを見比べられます。曇りや傷とは違い、立つ位置を変えても波は消えません。

いつ頃のものか

日本では旭硝子が1909年(明治42年)に円筒法を、日本板硝子が1920年(大正9年)にコルバーン法を採り入れ、1965年(昭和40年)ごろからフロート法へ移りました。うねりのある板が入っているのは、おおむね昭和戦前までの建具です。ただし割れるたびに一枚ずつ入れ替わるため、建物の竣工年ではなく建具ごとに見るほうが確かです。輸入された板も混じるため、うねりの有無だけで年代は決めきれません。

取り違えやすい相手

型板ガラスは片面へ型で模様を押したもので、うねりではなく決まった凹凸のため、像が規則正しく割れて見えます。修理で入ったフロート板は直線がまっすぐ映り、小口が青緑を帯びます。透明なアクリル板は小口に色が付かず、細かな擦り傷が全面に回ります。鎧戸の内側に隠れていることも多いので、戸の開いた窓で見ます。気泡や筋だけでは決められないので、直線が映るときの伸び縮みで見ます。