半円アーチ窓
窓と開口
時代: 明治以降
開口の頭を半円に組んだ窓です。放射状に並べた迫石の頂点に要石が入るか、水平の目地がそのまま頭を横切るかで、荷を受けている窓か飾りかが分かれます。
どんな材料・造作か
窓の頭を半円形に積み、上からの荷を左右の壁へ流す造作です。石なら楔形の迫石を放射状に並べ、頂点に要石をはめます。煉瓦は小口を立てて一枚ずつ倒しながら積み、イギリス積みやフランス積みの壁と同じ目地で続きます。同じ半円形でも、モルタルやテラコッタで輪郭だけを盛った飾りがあり、こちらは壁の中で荷を受けていません。頭の立ち上がりが開口の幅の半分になるのが半円で、これより低ければ別の形です。
見分けの決め手
窓の頭に集まる目地の向きを見ます。放射状に開いていれば迫石か煉瓦の小口を並べたアーチで、水平の目地がそのまま頭を横切っていれば、後から輪郭を貼った飾りです。厚みも手がかりになり、荷を受けるアーチは壁の厚さぶんの奥行きを持ち、開口の側面にも同じ半円が回ります。群馬の富岡製糸場の東置繭所では、要石に建てた年の銘が刻まれています。中へ入れる建物なら、開口の裏側にも同じ半円が続くかどうかを見ます。
いつ頃のものか
煉瓦造が官庁・銀行・倉庫に広がった明治期に数を増やします。群馬の富岡製糸場は1872年(明治5年)、東京の日本銀行本店本館は1896年(明治29年)、京都の舞鶴旧鎮守府倉庫施設は明治30年代の建設で、煉瓦と石の双方に例があります。1923年の関東大震災の後は煉瓦造そのものが減り、鉄筋コンクリートの壁へ形だけの半円を貼る仕事に移りました。明治の倉庫では、窓だけでなく出入口の頭も同じ組み方で丸めています。
取り違えやすい相手
先の尖った尖頭アーチは頭が三角に立ち上がり、教会堂に多く出ます。平アーチは頭が水平のまま楔形の石を並べたもので、遠目には角窓に見えます。まぐさで受けた角窓は、頭に一本の横材が渡るだけで、目地は放射しません。輪郭だけを盛った偽アーチは、テラコッタや人造石洗い出しの継ぎ目が水平に走るため、近づけば区別が付きます。半円が二つ並ぶ窓も、間に細い柱を立てて分けているだけで、組み方は同じです。