嘴
頭と顔の名前
羽ではなく、角質でできた鞘です。上嘴と下嘴からなる口の外側で、太さと長さと反りが、その鳥が何をどう食べているかと結びついています。
どこを指すか
上嘴と下嘴からなる口の外側で、骨の上を角質の鞘がおおった構造です。羽ではないので換羽で一斉に入れ替わることはなく、伸びながら先が摩耗して形が保たれます。付け根は額の羽毛に、下は喉の羽毛に接し、どこまでが嘴でどこからが羽かの境はこの生え際になります。鼻孔は上嘴の基部近くに開き、種によっては羽毛や膜でおおわれます。形を見る前に、この境目を目で押さえると長さの見当が狂いません。
見分けにどう効くか
太さ・長さ・反りが食べ物と結びつきます。シメのように種子を割る種は短く太い円錐形で、根元が深く、噛み割る力のかかる形をしています。虫を摘む種は細く、先がとがるか、わずかに下へ反ります。水底を探る種はさらに長く伸びます。大きさも色も似た小鳥どうしでも、嘴の断面が三角か針かで科の見当がつくため、羽色が読めない距離ほど効きます。正面からでは太さが分からないので、横向きになるまで待ちます。
似た語との違い
図鑑の数値は嘴峰という測り方の値です。嘴峰は上嘴の上面を走る稜線を指し、山階鳥類研究所の鳥類標識調査ではここに沿って長さを測ります。額の羽毛の生え際から先端までを露出嘴峰長と呼び、目で見た「嘴の長さ」とは始点が違います。頭骨との関節から測る全嘴峰長もあるため、数値を比べる時は、どこからどこまでを測った値かをそろえる必要があります。幼鳥では伸びきっていないこともあり、部位の名と計測の名は分けて扱います。
身近な鳥で確かめる
スズメの嘴は短く太い円錐形で、地面で種子をついばむ姿と形が合っています。ヒヨドリは細くやや下へ反り、花や実に差し入れる使い方をします。同じくらいの距離で見比べると、断面の違いが横顔の輪郭にそのまま出ます。色が変わる例はムクドリが分かりやすく、成鳥では黄色みを帯び、巣立って間もない個体では暗い色です。計測の定義は山階鳥類研究所の鳥類標識調査の計測法に当たります。