ムクドリのねぐらの声

街でよく聞く声

夕方の並木から、声の塊が降ってきます。日本野鳥の会はムクドリが「キュルキュル」「ジェー」「ツィッ」などさまざまな声を出し、非繁殖期には群れるとしています。

聞きなし

一羽ずつの声を書き分けても、ねぐらの音にはなりません。日本野鳥の会はムクドリが「キュルキュル」「ジェー」「ツィッ」などさまざまな声を出すと記しており、決まった節を持たない短い音の寄せ集めです。それが何百羽ぶんも重なるため、個々の音が溶けて、ざあざあという連続音として届くようになります。聞きなしとして書き留めるなら、一羽の音ではなく、途切れずに続く塊のほうを記録すると、あとで場面が思い出せます。

さえずりか地鳴きか

さえずりでも警戒の声でもない、群れの中の地鳴きです。日本野鳥の会がまとめて挙げる声のうち、ねぐらで重なるのは短い連絡の音で、繁殖期に雄が一羽で縄張りを主張する声とは役目が違います。ジェーという濁った一声だけは猫や人が近づいた瞬間に混ざり、その直後に群れの一部が飛び立ちます。平らな塊の中に太い一声が立った時が、警戒へ切り替わった合図で、聞き分けの手がかりはそこにあります。

いつ・どこから聞こえるか

日没の前後30分に集中します。集団ねぐらは非繁殖期に大きくなり、夏の終わりから冬にかけて数百から数千羽の規模になります。集まる先は街路樹の並木道のような葉の茂った並木、竹やぶ、河川敷の林で、明かりと人通りのある場所が選ばれることもあります。夜が更けると静まり、翌朝の日の出前後に散っていくため、昼に同じ木の下を通っても声は残らず、夕方に戻らないと確かめられません。

似た声との違い

一羽だけ取り出して聞くと、ヒヨドリやオナガと区別がつきません。どれも濁った声を出すためで、音の質だけで決めるのは難しいところです。手がかりは羽数と時刻のほうで、日没前後に一本の木から途切れずに続くなら、この鳥の見込みが高くなります。ハシブトガラスのカアも夕方に移動しますが、太い一声が数えられる間隔で並ぶので、粒の見えない連続音とは別ものとして扱えます。

この声で何をしているか

眠る前の、位置の確かめ合いです。集団ねぐらに集まる理由のほうは、捕食者に気づきやすくする働きと群れの動きをそろえる働きが仮説として挙げられており、どれか一つに決まってはいません。声の流れははっきりしていて、入り始めが最もにぎやかで、暗くなると急に静まります。縄張りを主張する声ではなく、鳴き交わす相手は同じ群れの隣の個体なので、聞こえる範囲がそのまま群れの広がりになります。