イソヒヨドリのツツピーコー
街でよく聞く声
海の鳥の名を持つ声が、街の屋根から降ります。日本野鳥の会は「ツツピーコー」と澄んだ声で鳴くとし、最近は市街地でも見られるようになったと書き添えています。
聞きなし
「ツツピーコー」と、日本野鳥の会は書いています。短い二音から入り、後半をゆるやかに上げ下げして結ぶひと節で、口笛に近い澄んだ音色です。同じ節をそのまま繰り返さず節ごとに少しずつ形が変わるため、イソヒヨドリの聞きなしは書き手によって幅が出ます。文字を合わせにいかず、澄んだ口笛がひと息ぶん続くという長さのほうを目印にすると、初めて聞いた声でも当てにいけます。
さえずりか地鳴きか
さえずりです。日本野鳥の会は雌も同様の声を出すとしており、さえずるのは雄だけ、という前提がこの種では外れます。高い所にとまって節を繰り返す形はホオジロの一筆啓上と同じ組み立てで、縄張りを示す歌の典型といえます。地鳴きは別にあり、短く濁った音を警戒の場面で出します。節が続くならさえずり、単発の濁った音なら地鳴きと分けられます。
いつ・どこから聞こえるか
繁殖期の朝が中心です。一年中いる鳥ですが、節のそろったさえずりは春から初夏に集まり、夜明け前後から始まります。声の出どころはまわりでいちばん高い場所で、ビル街と高い建物の屋上、アンテナ、電柱の天辺、防波堤の上が定位置になります。海岸の岩場だけでなく内陸でも聞こえるようになったかどうかは、1970年代と1990年代の調査と比べる形で行われた全国鳥類繁殖分布調査が確かめる先です。
似た声との違い
名前も声もヒヨドリのピーヨと紛れますが、ヒヨドリ科とヒタキ科で科から違います。ヒヨドリは高い一音を長く引くだけで節になりませんが、こちらはひと節が上下しながら数秒続きます。シジュウカラのツツピーは出だしの音が似るものの、同じ二音を機械のように繰り返すので、後半の伸びと節の変わり方を見れば取り違えません。高い場所から降ってくる点は三つとも同じで、そこは手がかりになりません。
この声で何をしているか
高い場所からの主張です。まわりで最も高い一点にとまって節を繰り返すのは、声の届く範囲をそのまま自分の場所として示すやり方で、縄張りの輪郭が声で描かれます。雌も同じ声を出すため、声の主を雄と決めつけられません。市街地では建物が岩場の代わりになっているという見方があり、高さのある人工物のそろった場所で聞かれるようになったと説明されますが、増えたと言い切れるところまでは分かっていません。