枝を刺して止まらせる

呼び寄せる

背景のために枝を折るのは、撮る側の改変です。日本野鳥の会のガイドラインⅠ⑧は、枝を折る、切る、刺すといった行為が条例や規則の違反になり得ると示しています。

どういう行為か

止まってほしい場所に、人の手で止まり木を作る行為です。地面へ枝を挿す、切った枝を三脚に固定する、杭を打つのがこれにあたります。邪魔な枝を折る、下草を刈る、手前の葉をむしるという引き算も同じ枠です。狙いは背景と抜けを整えることにあり、鳥に触れていないぶん見過ごされますが、変えているのは鳥のいる場所そのものです。場を作って寄せる点では、餌でおびき寄せると並ぶ行為になります。

法や指針での位置づけ

日本野鳥の会の野鳥撮影ガイドラインⅠ⑧は、枝を折ったり切ったりする、枝を刺すといった行為が条例や規則の違反になる可能性があると示しています。実際、都市公園法にもとづく各自治体の公園条例では竹木の伐採や損傷が管理者の許可を要する行為として並んでおり、無断で折れば禁止行為に触れます。境内や河川敷、私有林はそれぞれ管理者が別にいる土地で、かかる規則も一つではありません。

なぜ問題になるか

作った止まり木は、撮り終えたあとも現場に残ります。同じ位置で撮ろうとする人が続けば、その一点へ人が集まり続けます。下草を刈れば地面近くで採餌する種の逃げ場が消え、ウグイスのようにやぶの中で暮らす種ほど先に効きます。写真の側にも返ってきて、自然に見える一枚が、人の手で作られたものになります。その木を選んだのが鳥かどうかで、記録としての値打ちが変わります。

代わりにどうするか

枝ではなく、自分の立ち位置と時間を動かします。同じ鳥でも、光の回る向きへ半周する、しゃがんで背景を空へ抜くだけで、枝かぶりはかなり減ります。抜けのよい場所は季節で入れ替わり、林のふちとやぶのような境目は葉の落ちた時期に見通しが利きます。手を入れずに待って、その木を鳥が自分で選んだ一枚を撮るほうが、あとで場所と状況を説明できます。

相談する窓口

折られた枝や挿された枝を見つけたら、その土地の管理者へ伝えます。都市公園は公園管理事務所、河川敷は河川管理者、境内は社務所や寺務所が判断を持ちます。撤去してよいかどうかも管理者が決めるため、自分で抜いて片づける前に一報を入れるほうが筋です。撮影地ごとの慣行が分からないときは、地域の日本野鳥の会の支部がその線を知っています。