声を流して呼ぶ

呼び寄せる

録音した声を流して呼ぶのは、線の外です。日本野鳥の会のガイドラインⅠ③は、鳴き声を流しての誘引をやめるよう求め、バードコールの使用も同じだとしています。

どういう行為か

録音した鳴き声をスピーカーで出して、鳥の反応を引き出す行為です。専用のアプリ、動画サイトの音声、携帯電話の小さなスピーカーでも扱いは変わりません。木や筒をこすって音を出すバードコールも同じ枠に入ります。聞くことと、鳴らすことは別です。この本がウグイスのホーホケキョのような声を文字だけで扱い、音源を持たないのはここに理由があります。

法や指針での位置づけ

日本野鳥の会のガイドラインⅠ③が「野鳥の鳴き声を流して野鳥を誘引することはやめましょう」と示し、続けて「バードコールの使用も同様です」と書いています。罰則の伴う禁止ではありません。鳥獣保護管理法第8条は捕獲等と鳥類の卵の採取等を対象としており、音を出しただけでは条文に届きません。止める力が使う側にしかないという点で、餌でおびき寄せると同じ層に置いています。

なぜ問題になるか

繁殖期のさえずりは、縄張りを持つ雄が、そこにいると示すための声です。流れてきた声を侵入者と受け取った個体は、探しに来て鳴き返し、見つからない相手に時間と体力を使います。その間は採餌も抱卵の交代も止まります。同じ場所で繰り返されれば、応じ続けた個体がその場所を捨てるほうへ進みます。縄張りという語が、そのままこの項目の仕組みです。

代わりにどうするか

鳴くのを待って、聞こえた向きを覚えるのが代わりの手です。さえずりは繁殖期の朝に多く、同じ雄が同じ木の高い場所へ戻る性質があるため、声のした一帯で立ち止まるだけで姿は出てきます。聞き分けを鍛えたいなら聞きなしという文字の手がかりが使えます。シジュウカラのツツピーのように言葉へ置き換えて覚えるほうが、機材を持ち出すより現場で効きます。

相談する窓口

作法に迷ったときは、日本野鳥の会の支部が開く探鳥会が相談先になります。参加者の前で音を出す人がいた場合も、リーダーに伝えるほうが直接の注意より角が立ちません。鳥獣保護区や自然公園の中でのふるまいは、都道府県の鳥獣行政担当と現地の管理事務所が線を持っています。学術目的で音声を使う調査は許可と計画の下で行われるもので、観察の場とは別に扱われます。