テンペラ

絵の具・描画材

卵で練る、速く乾く古い絵の具

どんな道具か

顔料を卵黄で練った絵の具。油彩が広まる前、ヨーロッパの板絵はほとんどこれで描かれていた。乾きが速く、置いた色をあとから混ぜられないので、細い線を並べて調子をつくることになる。プリマヴェーラやヴィーナスの誕生の輪郭のはっきりした明るい肌は、この性質と結びつけて見ると分かりやすい。

選び方

市販の完成品は少なく、顔料と卵を自分で混ぜるのが普通。顔料は1色あたり数百円から、卵は台所のもので足りる。支持体は白亜地や石膏地を塗った板が基本で、カンヴァスに描かれた作品もあるが、どちらも吸い込みのある地塗りが前提になる。

使い方のコツ

顔料を水で練ってペースト状にし、描く直前にほぼ同量の卵黄と合わせる。溶いたぶんはその日に使い切る。広い面を一気に塗るのではなく、細い線を少しずつずらして重ねる。乾くと色味が変わるので、紙の端で試してから本番に置く。

手入れ・注意

溶いた絵の具は卵なので傷む。作った日のうちに使い切る。膠や卵白を使う流儀もあるが、傷みやすさは同じ。描いた画面は最初もろく、時間がたつほど固く強くなっていく。湿気を避け、乾いた場所に平らに置く。筆は卵が固まる前に水で洗う。

解説動画: 卵で練るテンペラがどんな絵の具なのかを説明する/uniatelier

どんな質感の絵の具として紹介しているか: 油彩は知られていてもテンペラは何のことか分からない人が多いとして、まず質感から入っている。油彩のようには光らず、透明水彩のようにマットでもない、半つや消しと呼ぶ中間の質感で、この質感が好きで使う人は多いという。板に描いている途中の模写を手に持ち、金箔を置いた背景との照り方の違いを見せている。

何を混ぜて作るか: 顔料を卵の黄身で練るのがいちばん簡単な処方だとして、顔料・卵黄・防腐剤として働く酢・市販の防腐剤の四種類を材料に挙げている。油彩や水彩はチューブに詰めた状態で売られているのに対し、テンペラは描く人が自分で練るのが普通で、練った市販品もあるが自分で作る人がほとんどだという。

どう描く画材か: 細い面相筆で線を重ねていくハッチングに向いた画材だとしている。自分で描いた人物画を画面に近づけ、そのタッチが残っているところを見せている。テンペラと油彩と水彩を使い分けたワイエスの展覧会にも触れ、テンペラを自在に使いこなした作家だと紹介している。