油彩
絵の具・描画材
ゆっくり乾く、重ねて深める絵の具
どんな道具か
顔料を乾性油で練った絵の具。乾くのは水が飛ぶからではなく、油が空気と結びついて固まる反応なので、表面が乾くまで数日かかる。そのぶん画面の上で色を混ぜ続けられ、塗り重ねて深い階調をつくれるのが他の絵の具との最大の違いになる。15世紀のネーデルラントで技法が磨かれ、アルノルフィーニ夫妻像の細部もこの絵の具による。
選び方
最初は12色前後のセットでいい。4000〜6000円ほど。絵の具のほかに、薄めるための揮発性油、ツヤと固着を助ける乾性油、筆を洗う筆洗油の3本が要る。「習作用」「学生用」とあるものは高価な顔料を代替色に置き換えていることが多く、混色したときの濁り方が変わる。
使い方のコツ
決まりは一つ、油の多い絵の具を上に重ねる。描き始めは揮発性油で薄く、仕上げへ進むほど乾性油を増やす。逆にすると上の層が先に固まり、乾くときの縮みで下からひび割れる。厚く盛って筆あとを残すインパストも、透明な層を薄くかけるグレーズも、この順番の上で成り立つ。
手入れ・注意
描いた絵は指で触れて乾いていても、中はまだ乾いていない。仕上げのニスは描き終えてから半年以上置いてから塗る。溶き油はふたを閉め、換気しながら使う。いちばん危ないのは油の染みた布で、丸めて放置すると酸化熱で自然発火する。広げて乾かすか、水に浸けてから捨てる。
解説動画: 最初にそろえる油絵の道具と溶き油の使い分け/絵画をたしなむ 画家 黒沼大泰
まず何を買えばいいと言っているか: 油絵は道具の種類が多くて何が要るのか分かりにくいとして、まず買うべきものを挙げている。色がバランスよく入った油絵具のセットに加え、揮発性油・乾性油・樹脂・乾燥促進剤の四つをそろえる組み立てで、絵の具のチューブの裏には半透明色か不透明色かという性質が書かれていることにも触れている。
油と樹脂がそれぞれ何をするか: 揮発性油は乾きが速く絵の具を溶く力も強いので、描き始めに多く使うと説明している。乾性油は重厚で奥行きのある光沢が出る代わりに、入れすぎると乾かず制作が止まる。樹脂はあくまで補助で、つやを足しながら乾燥を早める役だが、多いと画面がプラスチックのような質感になるという。乾燥促進剤は数滴まで。
制作の進み方に合わせて配合を変える: 序盤は揮発性油を多めにし、進むほど乾性油を増やす。乾きを早めたいときだけ樹脂や促進剤を補助的に足すのが王道だとしている。毎回考えるのが面倒なら基本の調合油をあらかじめ作っておき、そこへ足して描けばいいという。チューブ入りのメディウムを混ぜるときは、絵の具一に対してメディウム一未満に抑えるよう釘を刺している。
筆と、絵の具を混ぜる道具: 筆は使う色数だけ用意して、色を変えるたびに洗わずに済むようにするといいとしている。絵の具を勢いよく置くなら剛毛、繊細な表情をつくるなら軟毛、広い面には刷毛と使い分ける。パレットは一枚ずつ剥がして捨てられる紙のものが楽で、絵の具は筆ではなく二本のペインティングナイフで練ると、混ざり残りも筆の傷みも避けられるという。