水は減った分を足すだけでよい?
水と資源の説
判定: 測るとそうならない
汚泥を抜くたびに水も出るので、入れ替えは起きています。足すだけで済んでいるように見えるのは、抜いた分を数えていないからです。
言われていること
「アクアポニックスは水を替えなくていい。蒸発した分を足すだけ」という言い方が、金魚の水槽や水耕との違いとして語られます。水は系の中を回り続けるので出ていかない、という理屈で、足し水の量は蒸発と蒸散の量に等しいと説明されます。一度立ち上げれば手入れは要らない?と同じ絵の上に乗っている話です。
誰が、何を、どう測ったか
FAOの資料の日課には、水位を見て蒸発分を足す作業のとなりに、沈殿槽から固形物を抜くが並んでいます。Palm ら 2019 は結合型の系を扱った章で、沈殿槽を真水で洗う作業が系全体の水の減りの主因だと書き、飼育密度が上がるほど入れ替えの回数も量も増え、養分も一緒に出ていくと続けています。
測るとどうか
Rakocy と Hargreaves 1993 はUVI方式の1日の補給量を全水量のおよそ1.5%、Love ら 2015 は自分たちの研究用の系でおよそ1%としました。Calone ら 2019 が測った循環式養殖では、1日555Lのうち460Lが捨てられ、蒸発は32Lで、抜く側が蒸発の14倍あります。
どう言えば正しいか
足した量ではなく、出ていった量を数えると言い直せます。沈殿槽を洗った水と、硝酸態窒素(NO₃-N)が上がったときの入れ替えが、蒸発のほかに乗ります。両方を書き出すと、出ていく量は蒸発だけを数えていたときよりずっと大きくなります。抜いた分を数えないままだと、足し水で持ち込まれた塩がたまってECが上がり続けるところまで見えません。
解説動画: Aquaponics Solids (poop) Removal Tour and Maintenance/Bigelow Brook Farm (Web4Deb)
魚の槽から抜く: 動画は、槽の中央の底まで下ろした管で固形物を抜く仕組みから始めます。管の下端は溝を切った継手で、魚は入らず沈んだものだけが吸い上がる。途中に空気抜きを立ててサイフォンを止める(塞ぐと槽の水ごと抜けてしまう)。水面の少し下を掬うオーバーフローも付いていて、1350ガロンの槽から二つの口で水を送り出すと述べます。
沈殿槽のしくみ: 次は沈殿槽の中身です。コーン底の120ガロンのタンクの上を切り、いまは80ガロンの線まで。入った水は拡散板で受け、底近くまで届く筒を通ってから外へ回るので、流れがとても遅く渦が立たない。周囲の鋸歯状のウェアで薄く分けて出すのも同じ狙いで、ドラム式と違って電気で回す部分がない受け身の作りだと説明します。
一週間で浮く: 掃除の間が一週間ほど空くと、たまった固形物が分解のガスで浮き上がり水面に集まる。上の側壁には付かないが、60度に傾いた下の面には積もり、厚くなると剥がれて浮くと言います。手入れは、流入のバルブだけ閉じてポンプは回したまま、網で掬い、ブラシで斜面の付着を中心へ落とす。かき混ぜた水は10〜15分置いて澄ませてから戻します。
毎日と週ごと: たまった汚泥は、1日1回、水位差でつながる隣のタンクへ5〜10秒だけ流す。そちらは小さなポンプで回しながら6つのノズルで空気を入れていて、魚の鱗や骨が引っかかると詰まる。死んだ魚が出たときは点検を増やすそうです。週に一度はポンプを止めてノズルを外し、年に一度か二度は長い柄のブラシで配管のぬめりを落とします。
出ていく水を見る: 最後は、バルブを開けて5ガロンのバケツへ汚泥を落とす場面です。色が薄い、濃い、また薄いと変わり、濃いところが底の汚泥だと分かる。一日置くと2〜3インチが沈み、上澄みはメディアベッドへ戻す。沈んだ汚泥は畑へ捨て、養分の多い水はジョウロで鉢の草花へも回す。出ていく水がここにあると読めます。