肥料は魚のフンだけで足りる?

水と資源の説

判定: 測るとそうならない

カリウム・カルシウム・鉄は不足することが測られています。魚の餌は魚のための配合で、植物が要る量のこれらを含んでいないからです。

言われていること

「魚がえさを食べてフンをすれば、それが肥料になる。ほかには何も要らない」という説明が、矢印の図とともに置かれます。窒素が餌から入ってくるのは確かで、硝酸が上がってくれば養分は回っていると読まれます。魚と野菜のつり合いは餌の量で決まる?の話と合わさると、餌さえ入れておけば足すものは何もないという言い方に伸びます。

誰が、何を、どう測ったか

FAOの資料は、つり合いの取れた系でも鉄・カリウム・カルシウムが不足しやすいと書き、理由を魚のための配合であることに置いています。Lennard 2021 は140Lの系を12基使い、緩衝材を4通りに分けて21日のレタスで収量を比べました。Delaide ら 2016 は結合型の系で、養分の出入りを1作分たどっています。

測るとどうか

Graber と Junge 2009 が水耕の培養液と並べた測定では、窒素が3分の1、リンが10分の1、カリウムは45分の1でした。Lennard 2021 では、カリウムを含む緩衝材の区の収量が4.75kg/m²、カリウムとカルシウムの混合区が5.00kg/m²で最も高く出ています。Delaide ら 2016 では窒素とカルシウムは逆にたまりました。

どう言えば正しいか

餌から来ない分を足して初めて回ると言うのが正しい形です。カリウム(K)とカルシウム(Ca)は酸を戻す作業と兼ねて入り、鉄(Fe)は別に足します。何が足りなくなるかは系の作りと餌で入れ替わるので、決め打ちにせず、新芽だけが黄色く、葉脈が緑に残るのような葉の出かたから引きます。固形を戻して餌からまかなえる分を増やす作りも試されています。

解説動画: Nutrient Supplements for Aquaponics Systems | Test Results/Rob Bob's Aquaponics & Backyard Farm

水を検査に出す: 動画は、自分の系の水を500 mL採って分析会社へ送り、水耕の目安と並べたppmの表と色の棒グラフを受け取ります。窒素とアンモニウムは十分にある一方、リン酸・カリウム・カルシウム・マグネシウム・硫黄・鉄・マンガンが低いと出ました。ナトリウムが多いのは魚のために塩を入れているからだと読み、モリブデンは今回の項目に入っていなかったと断ります。

足りやすい四つ: 動画は、足りなくなりやすいものを四つ挙げます。カリウム(K)とカルシウムは、魚が餌の中のそれを自分の体に取り込んでしまうので植物側まで届きにくい。鉄は多少は通るものの、葉物を多く作っていると足りなくなると言います。マグネシウムも折々足す必要が出ます。要る量の少ない微量元素は、まとめて足せる資材で見ておくと分けます。

酸を戻す作業と兼ねる: 硝化はアルカリ度を使うのでpHが下がり、戻すための緩衝材が要ります。動画は、カルシウムを水酸化物、カリウムを重炭酸塩の形で入れれば、pHを戻す手当てと養分の補充が同じ作業になると話します。自分の系では餌が1日150 gで、2日に1回ほど小さじ2杯を入れてpH6.5〜6.8に収めている。餌と床が違えば同じ量にはならないと付け足します。

鉄とマグネシウム: 鉄はキレート(DTPA)で1〜2 ppmの範囲を保つよう月に1回ほど入れ、マグネシウムは硫酸塩を2〜3週に1回と、週に1回の葉面散布を足しています。散布を始めてから傷んでいた株が戻ったと映像で見せる一方、微量元素は安く測る手段がなく、水の分析も数か月に一度が精いっぱいだと言い添えます。

餌と床のつり合い: 最後に動画は、餌が1日150 gなのに対し1 m²あたり60〜100 gが目安なので、四つの床に対して植え過ぎだと自省します。硝酸は振り切れているのに他の元素は足りない、と表と株を並べて見せた回です(魚と野菜のつり合いは餌の量で決まる?)。これは手引きではなく自分の系のいまの断面だと断って結びます。