魚が出した窒素はぜんぶ野菜が吸う?
水と資源の説
判定: 測るとそうならない
餌に入った窒素のうち、野菜が取り込むのは一部です。残りは魚の体と汚泥に入り、水に残った分は硝酸としてたまっていきます。
言われていること
「魚のフンを野菜が吸ってくれるから、水はきれいなまま」「窒素は系の中で閉じている」という説明が、矢印の図とともに置かれます。魚から微生物へ、微生物から植物へ、植物から魚へと一周する絵は分かりやすく、そのまま入った窒素はすべて株に渡ると読めてしまいます。魚と野菜のつり合いは餌の量で決まる?も、この絵の上に乗ります。
誰が、何を、どう測ったか
FAOの資料は餌の窒素の行き先を、30%が魚の体、15%が未消化の固形、55%がアンモニアと分け、固形の6割ほどは沈殿槽で系の外へ出るとしています。Hu ら 2015 はトマトとチンゲンサイの系を並べ、窒素の出入りを測りました。Eck ら 2019 は各国の測定値をまとめた章で、失われる道を一つずつ並べています。
測るとどうか
Hu ら 2015 では、餌の窒素のうち魚と株に残った割合がトマトで41.3%、チンゲンサイで34.4%、1.5〜1.9%が一酸化二窒素として空へ出ました。Eck ら 2019 は脱窒による損失を25〜60%と書き、別のまとめは系の平均をおよそ40%としています。固形のまま抜ける分もここに乗り、株が吸うのはさらにその一部です。
どう言えば正しいか
窒素の一部が株に渡ると言うのが正しい形です。残りは魚の体と汚泥、脱窒、空へ抜ける気体に分かれ、道ごとに割合が違います。吸い切れなかった分は硝酸態窒素(NO₃-N)としてたまるので、硝酸だけが増え続けるなら、餌の量に対して株の面積のほうが足りていません。逆に下がり続けるときは、株の側が多すぎます。