土で作るより環境の負担が小さい?

水と資源の説

判定: 条件によって変わる

電気の使い方しだいで、負担は大きくも小さくもなります。公表されている評価の多くで、影響のほとんどを電気が占めています。

言われていること

「土を使わず農薬も撒かないから環境にやさしい」「水も養分も循環するので負担が小さい」という言い方が、紹介の締めに置かれます。資源が輪になって閉じているように見えることが、そのまま根拠にされます。比べられている相手は土の畑のこともあれば水耕のこともあり、何を、何と比べて測った負担なのかは、たいてい書かれないままです。

誰が、何を、どう測ったか

Bordignon ら 2022はニジマスとレタスの低装備の系を、2つの飼育密度で測りました。Chairat ら 2025 はタイのティラピアとレタスを従来の作り方と並べ、Arbour ら 2024 は海水のエビと塩生植物、Ghamkhar ら 2020 は寒冷地の系を、材料の採取から農場を出るまでの範囲で調べています。

測るとどうか

Bordignon ら 2022 では、電気が富栄養化で64%、淡水の生態毒性で93%を占め、餌は温暖化で10%でした。Arbour ら 2024 は電気が中間指標のほぼすべてでおよそ90%、風力に替えると95〜99%下がるとしています。Chairat ら 2025 のティラピア側は、水の使用量が9割減る?で扱う水の消費と富栄養化、陸域の生態毒性を除いて従来法より悪く出ました。

どう言えば正しいか

電源と設備まで書いてから比べると正しくなります。土で作る側と並べた評価では、負担が大きく出た報告のほうが多いのが今のところの姿です。小さく出るのは水の消費と富栄養化にかぎられます。水中ポンプとエアポンプを止められない作りなので、負担の中心は魚でも土でもなく電気にあり、電源を替えると順番が入れ替わります。

解説動画: A comparative life cycle assessment of Bok Choy and Lettuce produced in hydroponics vs. aquaponics../Kean University Research Days

都市の水の農場: 発表は、都市に人が集まり、生鮮の野菜や果物が手に入りにくい地域が広がっているところから始まります。そこで各地に作られてきたのが、土を使わず水で育てる農場です。土の畑より土地も水も使わずに済むからだと述べたうえで、一生のあいだにどれだけ環境に負荷をかけるのかは、まだよく調べられていないと、そこに問いを立てます。

二つを並べて測る: 調べたのは、実際に動いている農場で作られたチンゲンサイとレタスです。2019年の夏に、資源の使いかたと環境・人の健康への影響をライフサイクル評価で数え上げ、水耕とアクアポニックスを並べました。あわせて影響を生んでいる要因はどこか、設計をどう変えれば負荷が下がるかまで問いに含めています。

効いていたのは電気: 結果は、水耕で育てた野菜のほうが環境への影響が大きいでした。演者はその理由を電気の使用量に置き、内訳として苗を育てる工程と、夏に回し続ける送風機の運転を挙げます。ただし水耕のほうが育ちは速いので、同じ都市により多くの野菜を届けられる面はある、とも付け加えます。

土と並べると: 同じレタスを土で作った場合は、水耕より影響が小さく、アクアポニックスよりは大きいという位置になりました。演者は、この調査が水で育てる二つのやり方の理解を深め、農業がかける環境への負荷を下げる方向に役立つと結びます。順番が付いたのは、この3つの作り方のあいだでの話です。

条件は語られない: 3分ほどの発表なので、農場の規模も、電気をどこから引いているかも述べられていません。順番が付いたのは、水耕とアクアポニックスと土の3つのあいだでの話です。影響の大きさを決めていたのが電気だという発表なので、この項目が電源と設備まで書いてから比べるとしているのと重なります。比べる枠の作り方を見る動画です。