魚と野菜のつり合いは餌の量で決まる?
収量と成長の説
判定: 測って確かめられている
魚の匹数ではなく、1日の餌の量で栽培面積が決まります。同じ匹数でも魚が大きくなれば餌は増えるので、数える相手が違います。
言われていること
「魚が何匹なら野菜が何株」という覚え方が広く出回っています。一方で設計側の資料は匹数を使わず、1日に入れる餌の重さで栽培面積を決めると書きます。この比は給餌率比と呼ばれ、系に入ってくる餌のほうを数えるところが違います。同じ匹数でも、魚の大きさが変われば餌の量は何倍にも動きます。「魚の重さ何kgに何m²」という言い方も別に出回っていますが、どちらも餌の量を経由して同じ比に行き着きます。
誰が、何を、どう測ったか
FAO技術報告589は、つり合わせを餌と栽培面積の1本の比にまとめ、葉物40〜50 g/m²/日、果菜50〜80 g/m²/日を挙げています。もとになった Rakocy 2007 はいかだ式で60〜100 g/m²/日、NFTはその約25%としました。ただし長年動かした実機からの設計指針であって、匹数方式と並べて比べた試験ではありません。
測るとどうか
FAOの設計表では、1000 Lの水槽に魚20 kg、餌200 g/日という組に対して葉物4 m²が置かれています。給餌率は体重の1〜2%/日、密度は10〜20 kg/1000 Lです。同じ餌の量でも、床がNFT(薄膜水耕)ならDWC(浮き床の水耕)の4倍ほどの面積が要る計算になります。
どう言えば正しいか
数えるのは匹数ではなく、1日に入れる餌の重さです。面積から餌を出すことも、餌から面積を出すこともできます。ただし値は床の型・作物・原水で動く目安なので、硝酸だけが増え続けるなら植物が足りず、アンモニアが下がらないなら餌が多いか、ろ材が育っていません。餌の量は毎日の記録に残しておくと、床を足すときの計算にそのまま使えます。数字は餌ばかりを見ず、硝酸態窒素(NO₃-N)の動きと合わせて読みます。
解説動画: Understanding Nutrient Deficiency in New Aquaponics - Plant to Feed Ratios/Rob Bob's Aquaponics & Backyard Farm
植えすぎて止まる: 動画は、水を回し終えたばかりの系で株が育たなくなる話から入ります。立ち上げ直後に入れるのは小さな稚魚で、口にする餌はごくわずかなので、株に回る硝酸も他の養分も少ない。それなのにトマトから葉物、ハーブまで床いっぱいに植えてしまう人が多いと述べ、まずいまの餌で支えられる株数を出すことを勧めます。
餌の重さを出す: 出しかたは単純です。5gの魚が25匹なら合わせて125g、1回に体重の2%を1日2回与えるとして1日5g。この5gが魚を通って床の株の養分になる分だと動画は言います。商業の系では餌を体重比で管理すると断ったうえで、稚魚の餌がどれだけ少ないかを目で分かる数え方だと添え、家庭にはもっと楽なやり方があると続けます。
面積で受け止める: 動画が自分の系で使う目安は、葉物とハーブなら1m²あたり20〜50gの餌、実を付ける株にはそれ以上で50g超です。餌のタンパクは30〜45%のものを想定していて、商業の資料で見かける比の範囲にも収まると言います。ここに稚魚の1日5gを当てると、支えられるのは床のごく一部だと分かります。
満腹法で測り直す: 魚を5〜10匹すくって体重の平均を出す代わりに、動画は食べ止むまで少しずつ与え、残った餌を量って差を取る満腹法を挙げます。2〜3日続けて平均を取り、4〜6週ごとにやり直せば、魚が育って食欲が増えた分がそのまま数字に出ます。網ですくわずに済むので、魚にかかる負担も軽いと付け加えます。
株は後から足す: 始めは葉物やハーブを5〜10株だけ植え、硝酸態窒素(NO₃-N)を測りながら、上がってきた分だけ株を足していく。魚を入れたあとに窒素源を足すのは若い魚に障るので勧めず、海藻の添加でカリウムを補うにとどめます。数えるのは匹数ではなく餌の重さだ、という向きが最後まで通っています。