水耕栽培より育ちがよい?

収量と成長の説

判定: 条件によって変わる

養分を補った条件では、水耕を上回った報告があります。魚の水をそのまま使った条件では下回ることもあり、何を足したかで結果が入れ替わります。

言われていること

「魚の水には微生物と有機物が入っているから、肥料だけの水耕より根が張って育ちがよい」という言い方があります。生きている水と、ただの養液という対比で語られ、養分の濃さをそろえても差が残ると説明されます。ただし何を足した水なのかは、たいていの場合ぼかされたままです。魚の水そのものを指しているのか、養分を足したあとの液を指しているのかで、話は別のものになります。

誰が、何を、どう測ったか

Delaide ら 2016 は、レタス Sucrine を温室のNFT(薄膜水耕)で定植から36日育て、水耕液・魚由来の液・魚由来の液に養分を補ったものの3つを比べました(1区20〜26株を2作)。Monsees ら 2019 は分離型で7週間、魚の水に足りない養分を足した液と対照を並べています。どちらも1本の温室試験です。

測るとどうか

Delaide ら 2016 では、補った区が水耕を平均39%上回り、補わない区は水耕と有意差がなく、根の重さは魚の水を使った2区のほうが重くなりました。Monsees ら 2019 は1株の生鮮重が対照325.9 g・魚の水323.3 g・殺菌した魚の水332.4 gで差なし。Curci ら 2026 では逆に、水耕91.8 gに対し18.6 gでした。

どう言えば正しいか

何を足したかを書かずに、上回ったとは言えません。足りない養分をそろえた条件では上回った報告があり、そろえなければ同等か下回ります。理由に挙がる溶存有機物や根まわりの微生物はまだ推測の段階です。分かれ目になるのは鉄(Fe)とカリウム(K)の量です。どちらも餌にはほとんど含まれず、系の中で先に足りなくなる養分です。