昼だけしおれて夕方に戻る
株の不調
判定: このまま様子を見る
昼のしおれは、吸う速さが追いついていない印です。夕方に戻るなら、根はまだ生きています。
どう見えるか
光がいちばん強い時間に葉が垂れ、夕方には元へ戻ります。翌朝は何事もなかったように張りがあり、これが何日か繰り返されます。垂れるのは外葉が先で、内側の葉は最後まで立っています。1株ずつではなく棚の同じ側がまとめて垂れることが多いところです。根が見える装置なら、色は白いまま。ECもpHも前日と変わらず、噴霧の音も止まっていません。
何が起きているか
噴霧栽培では、根の表面にできた薄い液の膜が乾くまでが一回分だと考えられています(根をつつむ水の膜)。昼は蒸散が強く、膜が乾き切ってから次の霧が来ると吸う側が一時的に追いつきません。逆に根の部屋が暖まって膜が厚いまま残ると、酸素が足りずに吸う力が落ちます。どちらも夕方には収まります。
どうするか
垂れはじめた時刻と、そのときの気温を記録します。毎日同じ時刻なら装置ではなく光と蒸散の側です。次に休止時間の決めかたを昼だけ短くします。実機の例には1分噴霧して4分止める運転や5分ごとに1日288回の運転があります。変えるのは休止の側だけにして、一度に一つずつ確かめます。夕方に戻らなくなったら別の話です(一株だけしおれて戻らない)。
起こさないために
昼と夜で噴霧の間隔を分けて持ちます。根の量が増えるほど一回分の液は早く尽きるので、同じ設定を最後まで使い回さないようにします。照明や日射で根の部屋の温度が上がりすぎないようにし、葉の側の湿度も並べて見ます(熱と除湿の負担)。根が見える装置なら、垂れた日の夕方に根の色も見ておきます。垂れた時刻を書き留めておくと、季節の変わり目に気づけます。
どこまで確かめられているか
液の膜が乾くまでを一回分と見る考え方は、まとめた論文が提案したものです(Eldridge ら 2020、New Phytologist 228:1183-1192)。膜の厚さと乾く時間を直接測った例は見当たりません。間隔の実例は1分噴霧4分停止・レタス・約55日(El-Demerdash ら 2026)と5分ごと1日288回・ツボクサ・53日(Lee ら 2026)。どちらも昼のしおれを測った試験ではありません。
解説動画: Why Plants Wilt And Can They Be Saved? - Garden Quickie Episode 77/The Ripe Tomato Farms
しおれは水の勘定: 動画は、育てる作物のほとんどは木ではなく水で自分の体を立てているのだと説明します。内圧が張りを保ち、伸びる力になっている。ところが根から吸う量と、葉が蒸散で失う量はほぼ同じで、今日のような暑い日にその釣り合いが崩れると問題が出る——しおれをそう置くところから始めます。
極端なやりかた: しおれ(flagging とも呼ぶ)は、蒸散が吸水を上回ったときに水を守るため植物がとる極端なやりかただと述べます。株は脱水していて、取り込める以上の水を使っている。だから体の側の生理的な反応なのだ、という置きかたです。見た目の派手さのわりに、勘定そのものは単純だということでもあります。
原因は暑さだけでない: この水の不足が起きる理由として、いちばん分かりやすいのは乾きと極端な暑さだと述べます。そのうえで傷んだ根、良くない土、塩分の高さでも同じことが起きると挙げていきます。垂れているという一つの見え方の裏に、道筋がいくつも並ぶということでもあります(根のまわりのEC)。
早ければ戻る: 早く気づけたときなら、しおれは容易に元へ戻せると動画は述べます。釣り合いを崩している原因——ここでは乾き——を取り除けば、株は何事もなかったように戻る、と実際の株で見せます。ただししおれること自体が望ましいわけではない、水が足りないときの極端な反応なのだと念を押します。
合図として読む: 最後に、育てる側にとってしおれは株が何かを求めているのが目で分かる合図であり、何かがうまくいっていないと株の側から伝えてくる手だてなのだと結びます。噴霧栽培の装置も霧の間隔も出てきませんが、吸う速さが追いついていないという勘定は同じで、垂れた時刻とそのときの条件をたどる入口として読めます(休止時間の決めかた)。