根の先と根元
根のまわりで起きること
水と養分をよく吸うのは、根の先に近いところです。根元側は表面が固まっていき、吸う場所というより通り道としての役割が大きくなります。
何が起きているか
根の先には、細胞が増える場所と伸びる場所が並び、そのすぐ後ろに根毛が立ちます。取り込みの多くはこの帯で起きます。根元へ戻るほど、内皮にカスパリー線、その外側にスベリン板ができ、水とイオンが細胞の壁づたいに入る道はふさがれていきます。同じ1本の根でも、役割は場所で分かれていて、先を失えば、残った根元だけでは吸えません。
何が効いているか
どこまで固まるかは、根が伸びた長さに対する位置で決まります。先に近いほど柔らかく、根元ほど層が重なるという順です。噴霧では根が空中にあるぶん、先の帯が乾きに直接さらされます。霧が届く高さとノズルの向きと取り付け高さが、吸う帯に当たっているかどうかを決めます。根が伸びれば、当たるべき高さも下がります。
目で見て分かること
白くて細い部分が先の帯で、産毛のような根毛が見えれば吸う場所が生きています。根元側が褐色でも、先が白ければ役割の分担どおりです。根の先が乾いて縮むと、その帯そのものが失われます。根毛ばかりが増えるときは、根毛の量と合わせて水の届き方を見ます。見るのは根の全体ではなく、先から数センチのところです。
どこまで確かめられているか
位置の実測は Grünhofer ら 2023 のポプラで、カスパリー線は根の長さの10〜20%で完成し、スベリン板は20〜30%から斑に現れました。1条件あたり根6本以上・4生物反復です。同じ試験では水耕・噴霧・土のあいだに違いが出ませんでした。ただし双子葉の1樹種の結果で、他の作物も同じとは限りません。
解説動画: Morphology of Roots: Zones of Elongation, Maturation, Cell Division & Types | NEET Biology/DoorstepTutor (NEET, JEE, IMO, NSO, NTSE...)
根を三つに分ける: 動画は、根には茎のような節が無く、内側の組織から枝が出るという特徴から入ります。そのうえで1本の根を成熟帯・伸長帯・分裂帯の三つに分け、いちばん先には根冠があると示します。先端から根元へ向かって役割が順に並んでいる、という見取り図がまず置かれ、そこから一つずつ中身に入っていきます。
先端で細胞が増える: 分裂帯は根のなかで最もよく働いている場所だと動画は述べます。細胞が次々に作られていて、核が大きく細胞質も多い状態で分裂が続く帯です。根が新しく出るところと同じで、先端に近いこの帯は細胞を作る側を受け持ちます。長さが伸びるのはここではない、と動画は帯を分けて置きます。
伸びるのは次の帯: 分裂帯のすぐ後ろが伸長帯で、細胞が長さを増やす帯だと説明します。名前のとおり、根の長さが伸びるのはここで起きていることです。細胞が増える場所と、長さが伸びる場所は同じではなく前後に分かれている。動画はこの並びを、1本の根をわざわざ三つの帯に分けて呼ぶ理由として押さえます。
吸うのは成熟帯: 根元側の成熟帯は細胞の分化が終わった帯で、活発な分裂はもう起きないと動画は言います。そのかわり水を吸うのはこの帯だと言い切ります。伸びる仕事と吸う仕事が、1本の根のなかで別の場所に割り振られていることになり、根を一続きの管として見ているとこの分担は見えません。
根の三つの型: 最後に根の型を三つ挙げます。主根は1本が深く下って枝を出す双子葉の型、ひげ根は主根が短命で多くの枝が出る単子葉の型、不定根は幼根以外の場所から出る根です。動画はどれにも例外があると断りますが、吸うのは根元側の成熟帯という帯の並びは、型が変わっても読みかたとして残ります。