根が新しく出るところ

根のまわりで起きること

新しい根は、茎や既存の根の決まった組織から出てきます。噴霧の装置は挿し木の発根がそろいやすい場面として、比較的よく測られています。

何が起きているか

側根は根の内側にある内鞘から起こり、外側の組織を押し破って出てきます。挿し木の切り口から出る不定根は、茎の管のまわりの細胞が分かれ直して作られます。どちらも出はじめは細く、表面がまだ固まっていません。この時期の根は、水の膜の厚さにも乾きにも、育った根より強く振り回されます。出る場所は株のつくりで先に決まっています。

何が効いているか

発根の時期に効くのは、切り口が乾かないことと酸素が届くことの両立です。霧はこの二つを同時に置けるので使われますが、置きすぎれば切り口が水に浸かり、少なすぎれば乾きます。噴霧時間の長さと休止時間の決めかた、それに根の温度が、そろい方を左右します。挿し穂の太さと切り口の位置も効いてきます。

目で見て分かること

切り口のまわりが白く膨らんでこぶのような塊ができ、そこから白い根が数本まとめて出ます。出る場所がそろわず片側だけなら霧の当たり方が偏っているので、霧が片側にしか届かないを先に見てください。切り口が茶色く柔らかいときは株元が黒ずんでぐらつくの側です。同じ日に挿した株を並べ、そろい方で見ます。

どこまで確かめられているか

噴霧での発根は木本で測られています。Sharma ら 2018 はギョリュウの一種の茎挿しを、60秒噴霧・800秒休み・根域28〜30℃・湿度80〜90%という条件で育て、オーキシン処理で発根79〜87%、出るまで10〜15日としています。1樹種の1試験で、装置だけをそろえた比較ではありません。作物ごとに並べた資料はまだ足りていません。

解説動画: Root Branching: Lateral Root Development/IIT Roorkee July 2018

枝分かれの役目: 動画は、根の枝分かれが根系全体の表面積を広げる働きだと言います。吸収にも支えにも効くので、どんな形になるかは種によって大きく違います。ニンジンのように主根が一本太く立つ型と、イネやトウモロコシのように細い根が束になる型があり、後者では茎から出る根が加わって、そこからさらに側根が分かれます。枝分かれが始まるのは、胚の中ではなくできあがった根の途中からです。

出どころは内鞘: 根を輪切りにすると、外から表皮・皮層・内皮と並び、その内側の内鞘が維管束に接します。動画は、側根がこの内鞘のうち道管に面した細胞から起こると述べます。その細胞だけで光る目印を使うと、側根ができはじめる場所と重なりました。逆にその細胞だけに毒素を作らせて殺した株では、側根が出てきませんでした。

割って出るまで: 始まりは、いったん分化を終えた細胞が分かれ直して幹細胞の性質を取り戻すことです。核が隣り合う細胞壁の側へ寄り、細胞は非対称に分かれて小さな塊を作ります。その中で表皮・皮層といった層が並び直し、新しい分裂組織ができます。最後は外側の組織を押し破って外へ出ます。動画はこの段階を根の出現と呼び、そこまでを一続きの流れとして並べます。

オーキシン次第: この流れの全体を仕切るのがオーキシンという植物ホルモンです。オーキシンは細胞から細胞へ運ばれて濃い場所と薄い場所を作り、濃くなった細胞から分裂が始まります。働きを止めた変異体や、受け手側の因子ARF7とARF19を欠いた株では側根がまったく作られません。下流のLBD16を人の手で働かせると側根が戻る、という実験も並べます。

出る場所も決まる: ふつうの株では側根が左右に交互に、ほぼ半々の割合で並びます。オーキシンの信号が乱れた変異体では、この釣り合いが片側へ偏ります。内鞘の細胞だけでオーキシンの信号を抑えた株でも、側根の形成はほとんど止まりました。信号の強さを光で見る仕組みで確かめると、信号が濃く出ている場所と、側根ができていく場所が重なります。