根の温度

根のまわりで起きること

根の温度は、地上部の温度とは別に動きます。噴霧では根を守る液だめが無いぶん、霧の温度と部屋の空気にそのまま引っぱられます。

何が起きているか

根の温度は、三つのことを同時に動かします。呼吸の速さ、水の膜が蒸発する速さ、そして水に溶けられる酸素の量です。上がれば呼吸は速くなり、膜は早く消え、溶ける酸素は減ります。下がれば逆に、酸素は溶けやすくなる代わりに根の働きそのものが鈍ります。どちらへ振れても、片側だけが得をすることはありません。

何が効いているか

噴霧の根域には、水耕の養液タンクのようなまとまった水がありません。熱を溜める量が小さいので、部屋の空気と霧の温度に短い時間で追いつきます。効くのは養液そのものの温度、チャンバーの中の空気、気化で奪われる熱の三つです。管理は養液の温度で扱いますが、液の温度と根の温度は同じではありません。

目で見て分かること

温度計を根のそばに置かないと分かりません。空気の温度とずれるので、根の高さで測ります。上がりすぎた側は養液の温度が上がるから根がぬるついて崩れるへつながり、下がりすぎた側は根が白いまま根が短いまま伸びないという形で止まります。色が変わらないまま止まるのが、下側の見分けにくさです。

どこまで確かめられているか

Bantis ら 2026 はミニロメインレタスを29日・根域14・18・22℃と無加温の対照11〜12℃、NFT 7株と噴霧8株で比べ、根の乾物重は噴霧では温度で変わりませんでした。著者は噴霧の根域が高湿度でも熱を溜める量が小さいためと述べています。25℃から18〜22℃へ下げると酸素の溶けやすさが15〜20%上がるという記述は Scott と Villouta 2026 のレビューです。

解説動画: How does temperature affect plant root and shoot growth?/M:C-AgriTech

土の下を見ない: 動画は、作る側が地上部の育ちばかり見て、地下で何が起きているかを話題にしないと述べます。種を播いて最初に出てくるのは根で、根ができて初めて、伸びていく地上部へ水と養分を渡せる。順番からしてそこが出発点なのだから、育ちを見るなら地上より先に根のまわりの条件を見てほしい、と話します。

適した温度の幅: 庭や畑でよく作る野菜の多くはC3の作物だとして、動画は15〜25℃をよく育つ幅に挙げ、30℃近くまで寄せられることもあると言い添えます。上へ大きく外れると酵素が変性して育ちが鈍り、下へ外れた側では生化学の反応そのものが遅くなります。冷蔵庫に入れた野菜が長持ちするのと同じことだ、と説明します。

根の育ちが変わる: 温度別に根を並べた図を見せ、10℃では根の張りにはっきり差が出て、15〜25℃の帯でいちばんよく育つと説明します。高すぎても低すぎても根は小さいままです。温室で作る人はこの帯を保つ必要を分かっている、と続けます。根が短いまま伸びないように見えるとき、根のまわりの温度を先に見ることになります。

暑さへの慣れ: 高温に耐える作物は、そのぶん何かを差し出すと動画は言います。葉を小さくして風と熱をやりとりしやすい形になる代わりに、採れる実や収穫そのものが小さくなる。しかもこの切り替えは、日差しが強くなった翌日に起きるようなものではありません。同じ環境が続くあいだに少しずつ進むので、変化に気づくのは後になります。

根の高さで測る: 動画は温湿度計を手に持って見せ、温室なら最低最高温度計を据えるのが普通だと話しつつ、持ち歩ける計器で、自分が育てている場所を確かめることを勧めます。温湿度データロガーのように記録が手元へ届くものにも触れます。根域そのものが必要な幅に入っているかを見るのが出発点だ、と結びます。