補水と追肥

調製と管理

減った分を水で戻すか、肥料ごと戻すかで別の話になります。EC を測ってから、どちらを足すかを決めます。

何を担う成分・数字か

減った液を、原水で戻すか養液で戻すかを決める場面です。株は水と養分を別々の速さで取るので、減ったぶんの中身は日によって違います。同じ量を足しても、薄まる日と薄まらない日があります。効いてくるのは戻す量より戻す中身のほうで、判断の材料になるのは EC です(→ECとpHが動く理由)。

目安の範囲

施設園芸で標準になっているのは、排液と水を混ぜる比を、狙いの EC に合わせて自動で動かすやり方です(FAO 2013)。足す量を作物ごとの平均吸収濃度に合わせる考え方もありますが、その値が揃っているのはオランダの気候条件のぶんだけだと同じ手引きは書いています(De Kreij ら 1999)。

動かすと何が変わるか

原水で戻せば EC は下がり、養液で戻せば下がりません。どちらにしても成分の比は元から少しずつ離れます。原水のナトリウムや塩化物イオンは株がほとんど取らないので、戻すたびに残って積み上がります(→原水の成分)。自動で水を足す装置があると、測る前にもう薄まっています。戻した直後は混ざりきっていないので、数値も落ち着きません。

測りかたと直しかた

足す前に測ります。EC が狙いより高ければ原水、低ければ薄めた養液、というのが読み方の骨格です(→養液のEC)。読むのは温度補正の入ったEC計で、同じ時刻・同じ場所で続けます。足した量と中身を日付とともに残すと、崩れる速さが見えてきます。比のずれは EC には映らないので、戻らなくなったら更新と廃液へ渡します。

解説動画: How Often Should I Change Out My Nutrient Reservoir—Really?/Everest Fernandez

減るのは水が先: 動画は、株が食べる量より水を多く飲むところから始めます。運ばれた水は95%までが葉から蒸散して出ていくので、液を回して使う系では残った塩のほうが濃くなっていく。だから減った分を戻す作業が毎日か一日おきに要る、という順序です。何で戻すかの分かれ目も、この減り方の違いから出てきます。

何で戻すのか: 戻し方は二つ挙がります。ひとつは薄めた養液で戻すやり方で、その液はふつう3分の1から半分の濃さです。もうひとつは話し手自身のやり方で、まず純水で戻し、濃さが下がっていれば原液を足す。どちらを選ぶにせよ、足した量を控えておくほうが大切だと言い添えます(→原液のA液とB液)。

足したら測り直す: どちらを選んでも、足したあとに pH を読み直して、要るなら直すことが欠かせないと念を押します。目安として挙がるのは5.3〜6.5の範囲です。濃さと pH をまとめて読める計器を置いておくと、ひと目でいまどこにいるかが分かる、とも言います(→pHの上げ下げ)。

足した量を数える: 動画がいちばん強く言うのは、足した量を数えておくことです。2.5ガロンのじょうろで毎日、というように足す単位を決めておけば、30ガロンの槽の一杯ぶんをいつ足し終えたかが数字で分かる。株が小さいうちは一日おきで足りるので、同じ大きさの槽でも24日まで延びると言います。

一巡したら入れ替え: 数えるのは、槽の容量ぶんを足し終えたら作り直すという線を引くためです。足し続けるほど微量要素はたまり、成分どうしの比も元から外れていくと述べます。補水は減った分を戻すだけでなく、入れ替えまでの時間を数える作業でもある——話し手はこれを、根気の要る仕事だとも言っています(→更新と廃液)。