溶かす順番
調製と管理
先に水を張り、1種類ずつ溶かしきってから次を入れます。粉が残ったまま足すと、濃いところで沈殿ができます。
何を担う成分・数字か
ねらいは液の中に濃いところを作らないことです。粉のまわりだけ濃くなると、そこでカルシウムが硫酸イオンやリン酸イオンと出会い、溶けない粒になります。だから水を先に張り、溶けきったのを確かめてから次の1種類へ移ります。粉を水へ落とすのであって、粉に水をかけるのではありません。原液のA液とB液を作るときにいちばん効いてきます。
目安の範囲
FAO の施設園芸の手引き(2013年)が載せる 0 ℃での溶解度は、硝酸カリウムで0.13 kg/L、硫酸カリウムで0.12 kg/L、硫酸マグネシウムで0.26 kg/Lです。原液は使う濃さの100倍前後まで濃くするので、この溶けにくい側が上限を決めます。水が冷たい時期は、同じ量でも溶けきりません。
動かすと何が変わるか
順番を崩すと、溶け残りと沈んだ粒がそのまま液に残ります。粒は配管を通って、噴霧口の目詰まりの側へ運ばれます(→ノズルから霧が出なくなる)。詰まりが続けられない理由になるのかは詰まりのせいで続けられない?で扱います。水を先に張って1種類ずつ入れれば濃いところができず、同じ量でも早く溶けます。酸を使うときは水に酸を少しずつで、その逆はしません(FAO 2013年)。
測りかたと直しかた
容器の底を光にかざして、溶け残りを見ます。溶けにくいときは水の温度を上げ、かき混ぜながら数分待ちます。それでも粉が残るなら濃さが高すぎるので、薄い側で作り直します。仕上がりの濃さはEC計で読み、濁ったままの液は噴霧の側へ回しません。通しきれなかった細かい粒はインラインフィルターで受けます。
解説動画: Stop Paying for Water: How to Mix Raw Hydroponic Salts/MistCulture
濃いまま混ぜない: 動画は、計算した塩をひとつの濃い槽にまとめて溶かすことはできないと述べます。濃い状態でカルシウムが硫酸イオンやリン酸イオンと出会うと、その場で結びついて溶けない粒になるからです。液の底に白い泥のようなものがたまり、そうなった分の養分はもう戻らない、と続けます。
溶けきらない上限: 反応が起きなくても、溶解度という別の壁があると言います。濃くしすぎれば硫酸カリウムのような塩はそもそも溶けず、容器の底に固形のまま残ります。動画はこれを、混ぜ方が下手なせいではなく、その水が受け取れる量の限界として置いています。濃さを決めるときの上限だ、という扱いです。
A槽とB槽に分ける: だから濃い原液は二つに割る、と述べます。A側に硝酸カルシウムとキレート鉄、B側にリン酸塩と硫酸塩、それに残りの微量要素を入れる。カルシウムと強く反応する相手を、濃いあいだは同じ槽に置かないという分け方で、規模の大きい装置はどれもこの形だと言います(→原液のA液とB液)。
薄めるのは一瞬で: 使うときは、AとBそれぞれから水1 Lあたり10 mLを、流れている水のほうへ注ぎ込むと説明します。大量の水の中で一気に薄まるので、反応する濃さに達しないまま混ざるという理屈です。濃いところを作らないという一点で、槽の分け方も入れる場所もすべて決まっています。
原水を引いてから: 最後に、水道水や井戸水は0から始まらないと念を押します。もとから入っているカルシウムを引かずに配合すれば、カルシウムだけが行き過ぎて、計算は合っているのにカリウムが入らなくなる。まず水質の分析値を手に入れ、目標から引いてから量を出す、と結びます(→原水の成分)。