養液の温度

調製と管理

温度は、溶ける量と測る値の両方を動かします。EC 計の値は温度で変わり、液温が上がるほど水が抱えられる酸素は減ります。

何を担う成分・数字か

タンクとその中の液が持つ温度です。溶ける量・測った値・抱えられる気体の三つを同時に動かします。根のまわりの温度は別の話なので(→根の温度)、ここはタンクと液の側だけを見ます。気温ではなく、液に温度計を入れて読む値です。小さいタンクほど、日の当たる場所ほど、一日の振れが大きく出ます。

目安の範囲

EC の値は25 ℃換算で読むのが標準です。FAO の手引きが載せる補正係数(Pardossi ら 2004年)は、5 ℃で1.61、20 ℃で1.11、30 ℃で0.91となっています。水が抱えられる酸素の上限も温度で決まり、淡水では20 ℃で 8.84 mg/L、30 ℃で 7.53 mg/Lです(SRAC 452、Masser ら 1999年)。これは水に浸ける系の物差しです(→溶けた酸素と、空気の酸素)。

動かすと何が変わるか

上がると肥料は溶けやすくなる一方で、酸素の上限は下がり、微生物が増えやすくなります(→養液の温度が上がる)。下がると溶けにくくなり、濃い原液の側で溶け残りが出ます。温度補正の入っていない計器なら、同じ液でも季節が変われば EC の読みが変わります。日中がいちばん高いので、夕方に測った値は一日の上限に近い値です。

測りかたと直しかた

液に温度計を入れ、EC を読むのと同じ時刻・同じ深さで測ります。EC計は温度補正が入っているかを確かめ、校正液も液と同じくらいの温度になじませてから当てます。上がるならタンクを日陰へ移し、ふたをして光を切ります。冷やすときも一度に下げず、急に温度を変えないこと。空気の側の手当ては熱と除湿の負担にあります。

解説動画: 【-10℃超】液肥水温は空冷ファンで爆下がりまっせ!/ベランダゴーヤ研究所 -水耕栽培で鬼収穫-

屋上の暑さを測る: 動画は8月の終わりの屋上で、赤外線の温度計をあちこちに当てていきます。地面が49℃、日よけを貼っていない面は55℃と読み上げ、何の手当てもしていない容器の水に温度計を差すと、目盛りが上がり続けて48℃あたりで止まりました。気温だけでなく、置き場所の照り返しごと液の温度を押し上げていることを見せます。

自作の計測で追う: 次に、自分で組んだ計測装置で15分ごとに気温・水温・湿度・照度・ECを記録し、表計算の表に送っている画面を開きます。7月20日から8月30日までの記録では、8月に入って最高気温が45℃を超えた日が3回あり、そのあいだ水温の線がどう動いたかを、気温の線と重ねて並べて比べていきます。

空冷と遮光の効き: 空冷ファンと遮光をかけた側では、水温は高い日でも37℃台までで収まっていました。8月7日を一日に拡大すると、気温は11時55分に45.2℃まで跳ねるのに対し、水温の線はなだらかなままで、気温との差は最大12.27℃。大きな送風機を置かなくても効く、と述べます。

ひきかえに減る水: ただし風を当てるぶん水が蒸発して減ると断ります。冷えるのは水が気化するからで、下がった分だけ補水の手間が増えるという裏返しです。自動で水を足す仕組みを試したこともあるけれど、ファンが小さければ減りかたはそれほど変わらなかったので今は付けていない、と自分の運用まで話します。

液温を動かす手: 結びは、少ない電力で液の温度だけを下げられるという一点です。気温そのものは変えられなくても、液の側は十℃を超える幅で動かせることを、一夏分の記録で示しました。上がりっぱなしのタンクで何が起きるかは養液の温度が上がるへ、測る側の手順はこの項目の「測りかたと直しかた」の欄へ戻ります。