pHの上げ下げ

調製と管理

一度に入れると、行き過ぎて戻せなくなります。少量ずつ入れて混ぜ、数分おいてから測り直します。

何を担う成分・数字か

pH を動かす操作は、同時に養分を足す操作でもあります。下げるのに使う硝酸は窒素を、リン酸はリンを、硫酸は硫黄を持ち込みます。上げる側の水酸化カリウム・炭酸水素カリウム・炭酸カリウムはカリウムを足します(FAO 2013、Savvas 2001)。pH だけを動かす薬はありません。

目安の範囲

必要な酸の量を決めるのは、原水に残っている重炭酸イオンです。FAO の手引きは、これを二酸化炭素に変えるのにH⁺ と HCO₃⁻ が1対1(モル比)要ると書いています(Savvas と Adamidis 1999)。リン酸だけで賄えないのは、養液のリンの狙いが1.5 mmol/L 前後より上に行かないためです。

動かすと何が変わるか

下げ幅を稼ぐほど、その酸が持つ養分が増えます。硝酸で下げれば窒素が、リン酸で下げればリンが増え、狙いの組成から離れていきます。だから下げ幅が大きいときは、足したい養分の側から酸を選びます。上げる側も同じで、カリウムが増えたぶん多量要素の釣り合いが動きます。原水の成分のアルカリ度が高いほど、この足し算は大きくなります。

測りかたと直しかた

少量ずつ入れて混ぜ、数分おいてから測り直します。酸と重炭酸の反応は二酸化炭素が抜けるまで終わらないので、入れた直後の値はまだ動いています(FAO 2013)。読むのは校正したpH計で、校正液は期限を見ます。水に酸を少しずつ、逆にはしません。保護具を付け、酸と塩基は別々に置きます。

解説動画: How to Use pH UP & DOWN to balance your feeding water - best nutrient uptake Tutorial Review Hack/Everything Grows - Indoor Tent & Home Gardening

どこへ合わせるか: 動画はまず、pH によって株が吸える養分が変わるので、できるだけ多く受け取れる高さへ合わせると言います。狙いは苗のうちは5.8、育つにつれて6.2まで少しずつ上げる、という置き方です。どこが最良かは意見が分かれるとも断ったうえで、この数字を出しています(→養液のpH)。

下げる側だけ要る: 水道水はおおむね 7〜7.5なので、動かす向きはほとんど下げる側だと述べます。上げる薬も売られていますが、下げ過ぎたら元の水を足せば戻るので、上げ下げの両方をそろえる必要はなく、下げる薬と計器の二つで足りるという言い方です。液が手に付かないよう気をつけ、扱うときは手袋を、とも言い添えます。

少しずつ入れて測る: 手順は、計器を沈めて10秒ほど待ち、値が落ち着いたら書き留めるところから始まります。一度に入れず、少量ずつ入れて振り混ぜ、そのつど読み直す。動画では 6.94 から始めて0.25 mL ほど入れると 6.61、もう一度足して 6.31 と、少しずつ近づけていきます。

行き過ぎたとき: 5.3まで下げ過ぎた場合は、水道水を足していけば上がって戻る、と実演します。上げる薬を買うより水を足すほうが手軽だというのがこの動画の立場です。下げる側はpH を 1 動かすのにおよそ 0.5 mLと言っており、狙いの値になるまで足しては読む、を繰り返して合わせていきます。

色で読むやりかた: 終わりに、計器を使わない読み方も見せます。小瓶に測る水を半分まで入れ、指示薬を3滴落として一色になるまで振り、瓶の色見本と見比べる。ただしキットの指示薬より計器のほうが読みやすいと付け加えます。少しずつ入れて測り直す、というのがこの項目の骨格です(→pH計)。