原液のA液とB液

調製と管理

濃い液の中では、カルシウムが相手を選びます。硫酸イオンやリン酸イオンと出会うと溶けない粒になるため、原液は分けておいて薄めてから合わせます。

何を担う成分・数字か

使う濃さの100倍前後まで濃くした肥料の液を、二つの容器に分けて置いたものです。FAO の施設園芸の手引き(2013年)は、片方にカルシウムの肥料、もう片方にリン酸と硫酸の肥料を入れると書いています。濃縮の倍率を決めるのは、いちばん溶けにくい肥料です。薄めて養液のECを合わせる、その手前の液になります。

目安の範囲

原液1に対して仕上がり100という薄め方を示しているのは、フロリダ大学 IFAS の水耕トマトの資料 HS796/CV216(Hochmuth と Hochmuth)です。FAO の手引きも濃縮の倍率は100前後を挙げ、溶けにくい肥料がその上限を決めるとしています。どちらをA液と呼ぶかは資料でそろっていません。CV216 はカルシウム以外を入れた側をA液と呼んでいます。

動かすと何が変わるか

分けずに濃いまま合わせると、白い粒になって沈みます。硫酸カルシウムもリン酸カルシウムも水に溶けにくく、入れた量は変わらないのに、液に残る量だけが減ります。沈んだ粒はインラインフィルターとミストノズルの目へ運ばれます。規定の濃さまで薄めれば同じ液に居られるので、分けておくのは濃い側だけです。

測りかたと直しかた

それぞれ別の容器で溶かしきってから、薄めた水の中で合わせます。鉄キレートをどちらに入れるかは先に決めておきます(→鉄のキレート剤)。原液は光と温度で傷むので、暗く涼しいところに置き、作った日を容器に書いておきます。白く濁る原液、底に粉がたまった原液は使いません。原液そのものは計器の範囲を超えるので、確かめるのは薄めたあとの EC と養液のpHです。

解説動画: Rechecking concentrated nutrient solution to observe if any precipitate forming/M:C-AgriTech

コメントに答える回: 動画は、前に出した肥料の混ぜ方の回に付いたコメントから始まります。カルシウムはほかの養分すべてと反応してしまうのではないかという指摘に、そうではないと答えるための短い確認です。混ぜてあるのは硝酸カルシウムと硝酸カリウムで、どちらも一つの容器に入れてあると言います。

濁っていないこと: 容器の中を映して、溶け残った固まりが出ていないことを見せます。手ではなくバケツを使い、底に沈んだものが無いかを見るという確かめ方です。カルシウムもカリウムも硝酸も、それぞれのイオンに分かれて溶けたままで均一な液になっており、コメントが心配したような反応は起きていない、と述べます。

分けるのはどれ: そのうえで、分けておくのはカルシウムと、リン酸・硫酸のほうだと言い直します。この組み合わせを合わせると化学反応が起きて、沈殿になって成分が液から落ちる。だから濃い液を作るときはカルシウムをその二つと同じ容器に入れない。混ぜてはいけない相手を取り違えているのではないか、という答え方です。

あとから見直す: 短い回ですが、確かめ方そのものが要点になっています。前の回で作った濃い液をあとからもう一度のぞいて確かめるという段取りで、コメントで受けた指摘に映像で答える形です。沈殿は起きていないと示したうえで、この手順どおりに養液を作ってよい、と短く結びます(→溶かす順番)。