養液の単位と換算

ECとpH

同じ濃さが、いくつもの数字で書かれます。ppm と mmol/L と me/L、それに EC から濃度へ直す係数は器械ごとに違います。

何を担う成分・数字か

同じ濃さが、書き方によって違う数字になります。mg/L(ppm)は重さ、mmol/L は個数、me/L は電荷で数えた値で、行き来には原子量とイオンの価数が要ります。処方表はホーグランド処方のように mg/L で並ぶことが多く、園試処方と山崎処方は me/L で書かれます。資料によっては、同じ表の中で欄ごとに単位が変わります。

目安の範囲

レビューは、養液の電解質を6.4〜37.8 me/L、EC にして 0.8〜4.0 dS/mの幅で示しています(Sambo ら 2019)。窒素は書き方で桁が変わり、硝酸態窒素の値を硝酸イオンに直すと4.43 倍になります(原子量からの計算)。EC を ppm に直す係数は0.55〜0.7が許容とされます(上水試験の標準法)。

動かすと何が変わるか

単位を取り違えると、同じ液が薄いようにも濃いようにも読めます。TDS 計の ppm 表示は、EC に係数を掛けた換算値です。係数は純水に近い水で 0.47〜0.50、ふつうの淡水で 0.65 あたりと幅があり、器械が違えば同じ液から違う ppm が出ます(水質計測の技術解説)。換算の元を書いていない数字は、そのままでは比べられません。

測りかたと直しかた

資料を並べる前に、単位を一つに決めてから書き写します。EC は25 ℃ に補正した値で比べる決まりなので、補正が入るかをEC計の仕様で確かめます。ppm しか出ない器械なら、どの係数の ppm かを控えておくと、あとから dS/m に戻せます。単位をそろえるまでは養液のECを並べません。

解説動画: Hydroponic Nutrients TDS, PPMs and EC Explained!/Everest Fernandez

測っているのは伝導: 動画は、TDS計が測っているのは濃度そのものではなく電極のあいだを流れる電気の通りやすさだと始めます。純水はほとんど電気を通さず、塩が溶けるほど通りやすくなる。だから伝導を測り、そこから濃度を推し量っている——測った値と読み替えた値は別だ、という順番を先に押さえます。

単位はジーメンス: 単位はジーメンスで、扱う数字が小さいため1000分の1のミリジーメンスと100万分の1のマイクロジーメンスを使う、と説明します。手元の器械の目盛りには2〜3.6とだけあり、どちらの単位かは書かれていない。答えはミリジーメンスで、欧州で言う「EC2.2」は2200マイクロジーメンス毎センチと同じ値です。

係数は一つでない: 米国ではppmが好まれますが、伝導からppmへ直す係数は何通りもあると動画は言います。溶けている物ごとに電気の通りやすさが違うので、換算はどれも近似だという断りつきです。食塩を基準にしたNaCl係数は0.47〜0.5で多くの器械が0.5を使い、自然の淡水を基準にした442は0.65〜0.85です。

同じ液が別の数字に: 442は硫酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを各4割、塩化ナトリウムを2割にした組み合わせです。係数が違えば同じ液が違う数字になり、600マイクロジーメンス毎センチの液はNaCl係数で300ppm、442の0.7で420ppm、塩化カリウム基準の0.55で330ppmと表示される。どの係数かを知らずにppmを比べても意味がないと述べます。

校正液にも同じ穴: 最後は校正液です。ppmで書かれた校正液は、作った側がどの係数で表示したかが分からないと使えません。動画は、手元の1000ppmの校正液のラベルにその記載が無く、問い合わせてようやく0.5だと分かったと明かし、ラベルに書くか、いっそミリジーメンスで言ってほしいと言い添えて終わります。