養液のpH

ECとpH

多くの作物で 5.5〜6.5 に置かれます。根の入り口の速さより、養分が水に溶けたままでいられるかどうかに効きます。

何を担う成分・数字か

水の酸性・アルカリ性の度合いです。処方した養液では、根が吸う速さそのものより、入れた養分が溶けたままでいられるかどうかに効きます。作物ごとの好みより、液の化学の都合で置きどころが決まります。鉄のキレート剤が要るのも、鉄は pH が上がるほど水酸化物として落ちるためです。組み立てが同じでも、pH が違えば根に届く量は変わります。

目安の範囲

フロリダ大学の養液の資料(HS796、Hochmuth と Hochmuth)は最終液の pH を 5.8〜6.2としています。作物一般の適正域は5.5〜6.5です(Trejo-Téllez と Gómez-Merino 2012)。コーネル大学のレタスでは最適 5.8、許容 5.6〜6.0、噴霧で育てたツボクサでも5.8〜6.2でした(Lee ら 2026)。

動かすと何が変わるか

上げると鉄・マンガン・亜鉛とリン酸が溶けにくくなり、pH 6.5 を超えると微量要素が取りにくくなるとされます(Resh 2004 を引く Trejo-Téllez と Gómez-Merino 2012)。pH 8.3 を超えると、カルシウムとマグネシウムが炭酸塩として沈みます。下げすぎた側は資料が割れていて、どこからが低すぎるかは分かっていません。

測りかたと直しかた

pH計を校正液で合わせてから測ります。合わせ直しは、使う日の初めに済ませておきます。原液を溶かした直後ではなく、ひと回りさせてから読むと、根に当たっている液の値に近づきます。動かし方はpHの上げ下げに、放っておいても動く理由はECとpHが動く理由にあります。試験紙では pH 0.2 ほどの差は読めません。

解説動画: Nutrient Solution Explained/DeBacco University

養液になる前に: 動画は、袋に入ったままの肥料は養液ではないと始めます。水に溶けて初めて養液になるので、まず見るのは元にする水のほうだ、と。目安として挙げるのは pH 6〜6.5 と、EC は 150 ppm 未満。背景の塩が少ないほど、そのぶん入れる肥料を増やせるからです(→原水の成分)。

弱酸性に置く理由: pH は根が受け取れる養分の量を左右するので、多くの養分がいちばん取りやすい弱酸性の帯に置く、と動画は言います。酸性へ行きすぎればカルシウムが減り、アルカリ側では鉄やマンガンが溶けずに落ちる。だからpH がずれれば株に悪いほうへ働く、というのが理由です(→pHと養分の溶けかた)。

動く向きは中身しだい: pH が酸性側とアルカリ側のどちらへ寄るかは、何を主に与えているかで変わると続けます。だから一度合わせて終わりではなく、値を読み続けることが要る。濃さの目安は300〜700 ppm、EC でおよそ 0.5〜1.3で、温度と pH も同じ計器でまとめて読める形を勧めます。

振れやすい液: 水耕はpH を受け止める緩衝がほとんど無いので、肥料を足したときや根が育つにつれて値が大きく振れ、株に負担がかかると述べます。培地や土には緩衝の働きがあって振れは小さくなりますが、ロックウールにはその働きがありません。だから液を読み続けることがとくに要る、という言い方です。

塩を残さない: 最後は、液を少し流し出して根のまわりに塩がたまるのを減らす手当てに触れます。容器の底に穴を開けて受け皿を置き、どれだけ流したかを見られるようにする。作るときの水を選び、pH と濃さを読み続け、たまった塩は流す——養液の pH はその一連の中にある、と結びます(→根のまわりのEC)。