根の塊を多孔質として扱う
空間と気流
根の塊は、細かい形を追わずに抵抗の場として扱います。圧力の落ち方を風速の1次と2次の項で表すダルシー・フォルヒハイマー式が、計算でよく使われる形です。
何を決めるための考え方か
根を一本ずつ形どおりに刻むと、格子の数が増えすぎて計算が終わりません。そこで根群をまとめて、通りにくい場として置き換えます。栽培空間をCFDで解くときに、この置き換えで規模が現実的になります。決めたいのは、同じ送風量で圧力がどれだけ落ちるか、そして風がどこへ逃げるか。ここが定まらないと送風に要る電力の見積もりも動きません。
何を計算・計測するか
測るのは、風速と、根群の前後の圧力差の組です。速さを何点か変えて取り、圧力差を風速の1次の項と2次の項で回帰すると、粘性による係数と非線形の抵抗係数が出ます。計算へ渡すときは透過率と非線形損失係数という形に直します。あわせて根が体積のどれだけを占めているかも記録し、充填率と係数を対にして残します。いちばん詰まっているのは収穫の直前です。
つまずくところ
何層もの抵抗は、1層の抵抗を足した値になりません。層の数と葉の向きで係数が変わるため、葉の群れ全体を一つの対象として測るしかない、というのが風洞での結論でした。地上部で得た係数を根群にそのまま当てるのも危ういところで、根は濡れていて形も並びも違います。チャンバーの中の風の回り方でも落ちる圧力は変わり、霧が片側にしか届かないの下地にもなります。
どこまで確かめられているか
Wu ら 2022(Frontiers in Plant Science)は樹脂で作った模擬の広葉を風洞に置き、圧力損失がダルシー・フォルヒハイマー式に沿うことを示しました。Fang ら 2020 はレタスの葉群に抗力係数0.02を置き、透過率0.02・非線形損失係数0.134で計算に入れています。どちらも地上部の葉で、根群の値ではありません。自前でも風洞で取る計画はありますが、結果はまだありません。
解説動画: CFD Modelling of Porous Medium | Details with equations| ANSYS FLUENT/CFD Flow Engineering
抵抗の場に置く: 動画は、スポンジのような多孔質の中の流れを計算で扱う方法を説明します。多孔質は固体の部分と流体の通る部分でできていて、体積のうち流体が占める割合が空隙率。通り道で断面が変わるぶん流れは圧力を落とすので、細かい形は刻まずに、その圧力の落ち方だけを式に足すという置き換えをします。
運動量の源を足す: 置き換えの中身は、ふつうの流れの式に運動量の源となる項を足すことです。項は二つに分かれ、一つは粘性による損失、もう一つは慣性による損失で、この二つが圧力を落とす原因になります。速度の式として圧力の落ち方が分かっていればそのまま入れられるが、分からなければ二つを別々に出す必要がある、と述べます。
粘性による損失: 粘性の側は、圧力の落ち方が速度に比例する項です。比例の係数は粘度を透過率で割った値で置き、そこに流れが通り抜ける厚みを掛けると、x・y・zそれぞれの方向の圧力差が求まる、と動画は説明します。方向ごとの厚みが分かっていれば、そのまま解く側に渡せるという組み立てです。
慣性による損失: 多孔板や管群のように入口の速さが大きい場合は粘性の項を落としてよく、動圧に比例する慣性の損失が効きます。動圧は密度と速度の2乗の積を半分にしたもので、掛かる定数は方向ごとに違う。この定数は実験で測った圧力の落ち方と突き合わせて決めると述べます。ここも厚みを掛けて方向ごとに積分します。
空隙率は一つの値: 実演では、加熱した円柱状の三つの塊を多孔質として置き、空隙率0.75、つまり体積の75%が流体という設定で、入口の速さを毎秒2メートルとして解きます。流線を見ると塊の中を通る線はわずかで、大半が外を回ります。空隙率は領域にひとつの平均値で、場所ごとに変えたければ領域を分けるしかないと結びます。