換気回数と密閉度

空間と気流

空気を1時間に何回入れ替えるかが、設計の前提になります。密閉した人工光型と、窓を開けた温室とでは、桁がいくつも違います。

何を決めるための考え方か

部屋の空気が1時間に何回入れ替わるかで、二酸化炭素・水蒸気・熱が外へ出る量が決まります。密閉度を上げれば水の収支の回収側が効き、虫や埃も入りにくくなります。ただし出ていかない熱と湿りは、そのまま空調が引き受けます。熱と除湿の負担と背中合わせの数字で、片方だけを詰めることはできません。

何を計算・計測するか

単位は回毎時(h⁻¹)で、部屋の容積の何倍の空気が1時間に入れ替わるかを表します。測り方はトレーサーガス(目印の気体)を入れ、濃度の減り方から求めるのが基本で、水蒸気を目印に使った例もあります。設計では換気回数×容積×内と外の絶対湿度の差から、外へ逃げる水の量を見積もります。温湿度データロガーを置くのはそのためです。

つまずくところ

密閉するほどよい、とはなりません。実際の値を決めるのは扉の開け閉め、配管の貫通部、点検口で、設計値と実測はふつう一致しません。隙間の少ない部屋ほど、照明を消した時間帯に湿りが行き場を失います。段ごとに点灯をずらして負荷を平らにする運用は、この裏返しです。霧の水は壁と結露に取られる霧でも減ります。

どこまで確かめられているか

Kozai 2013(Proceedings of the Japan Academy Series B、オープンアクセス)は、閉鎖型植物生産システムの換気回数を0.01〜0.02h⁻¹とし、二酸化炭素の流出と、虫・病原菌・埃の侵入を抑えるには約0.02h⁻¹より下と書いています。窓を開けた温室は0.5〜100h⁻¹と幅があります。これは建物側の数字で、噴霧栽培に固有の値ではありません。

解説動画: How To Calculate Air Changes per Hour/MEP Academy

何回入れ替わるか: 動画は、換気回数を「部屋の中の空気が1時間に何度入れ替わるか」を表す量として説明します。式は換気回数=風量×60÷部屋の容積で、これを解き直せば必要な風量が出ます。手順としては、まず縦・横・高さから容積を求める。次に時間あたりを分あたりに直して、送るべき空気の量にする、と順に示します。

クリーンルームの例: 動画は等級ごとに求められる回数を挙げます。ISOクラス1で1時間に500〜750回、天井の8割から全面をフィルターで覆う。いちばん緩いISOクラス8では5〜60回で、天井の覆いは5〜15%です。12×20×9フィートの部屋を500回で回す例では、毎分18,000立方フィートが要ると計算します。

換気と再循環は別: 病院の回復室の例では、外から入れる空気の分と、部屋全体を回す分を分けて数えます。換気2回・最低6回なら、同じ容積で外気は毎分72立方フィート、全体では216立方フィートで、差の144立方フィートを空調側で循環させる勘定です。手術室は室内で空気を回さない点でクリーンルームと違う、とも付け加えます。

増やすほど良くはない: 動画は、回数を増やせば臭いは減り清浄度も上がると認めたうえで、送風機や圧縮機の電力をそのまま食うと述べます。だから必要なだけを与えてそれ以上出さないことが要で、人がいない時間帯は回数を下げるか、許されるなら止める。多いほど良い数字ではない、という締めかたです。

栽培室で読むなら: 扱っているのはクリーンルームと病院で、栽培室の霧は出てきません。それでも容積の何倍の空気が1時間に動くかという数え方と、換気や臭い・清浄度の求めから最低回数が先に与えられ、そこから送るべき空気の量を逆算するという順序は、密閉した部屋の熱と除湿の負担を考えるときの入口になります。