株のまわりの風速の帯

空間と気流

風は速いほどよいわけではありません。植物工場の研究では、葉のまわりの風速がある帯に入っている面積の割合を、設計の良し悪しに使っています。

何を決めるための考え方か

効いているのは風そのものではなく、葉の際にできる動きの鈍い空気の層をどれだけ薄くできるかです。層が厚いままだと熱も水蒸気も抜けず、蒸散が根の水を引く力も鈍ります。だから先に決めるのは送風機の大きさ(送風に要る電力)ではなく、株の高さで風速がどの帯に入るかです。根の側で起きることは根のまわりの動かない層へ渡します。

何を計算・計測するか

測るのは葉の高さでの風速(m/s)と、そこから見積もる葉面境界層の抵抗(s/m)です。Ahmed ら 2020 は7台のファンを向かい合わせに置き、平均0.75m/s・変動係数65%の条件で抵抗が54.0s/mまで下がり、ファンなしの対照に比べて顕熱と潜熱が40%と46%増えたと報告しています。1点ではなく面で取り、帯に入った割合で見ます。

つまずくところ

帯の数字は、測った条件ごと持ち出さないと壊れます。0.28〜1.04m/sという範囲は人工光型でレタスを水耕したときの葉面の値で、噴霧栽培の根まわりの推奨ではありません。上限の側にも意味があり、Lee ら 2013 では1.04m/sで生育が落ちました。平均だけ合わせても隅と中央は別の帯になり、葉先が茶色く枯れるが片側にだけ出ます。

どこまで確かめられているか

Fang ら 2020(Biosystems Engineering)はダクトの孔数と孔径で3案を比べ、12孔×15mmのとき0.28〜1.04m/sに入る割合が70.3%と計算しました。Ahmed ら 2020(Journal of Thermal Biology)はファンを増やした実測です。いずれもレタスの水耕で得た値で、根に霧を当てる系でも同じ帯が効くかは分かっていません。