空間のムラをどう測るか
空間と気流
平均値がそろっていても、隅と中央では別のことが起きます。変動係数や、目標の範囲に入った面積の割合を使って、ムラを一つの数字にします。
何を決めるための考え方か
同じ棚の中でも、場所ごとに風速も霧の量も違います。ばらつきを一つの数字にして、案どうしを比べられる形にするのがここの役目です。数字にしておけば、ノズルの本数と間隔や棚の段数と段の間隔を変えたときの差を、感想ではなく値で言えます。部屋が大きくなるほど散らばりは効くので、小さな装置の結果は大きくしても同じ?とも地続きです。
何を計算・計測するか
よく使うのは二つです。変動係数(標準偏差÷平均)と、目標の帯に入った測点や面積の割合。Sohn ら 2023 はコンテナ型の計算で、平均0.65m/s・変動係数33%だった案に対し、排気口を足した案が変動係数10%まで下がったと報告しています。測点の数と位置を先に決め、それごと記録します。
つまずくところ
測点を変えると、同じ装置でも数字が変わります。平均だけを合わせた案は、隅が帯から外れたまま残りがちです。センサー1点で部屋を代表させるのが、いちばん外れます。Peiro ら 2020 では吸気の偏りで、中央の7トレイの地上部乾物重が両端より33.5%低いという差が出ました。数字は定義と測点ごと書き残し、栽培空間をCFDで解くときの比べ先にします。
どこまで確かめられているか
Peiro ら 2020(Frontiers in Plant Science)は、MELiSSA計画の9m³の閉鎖チャンバーでレタスの育ちが揃わず、計算で気流を調べて空調系を改修しました。地上部乾物重の標準偏差は、平均に対する割合で23.0%から12.6%へ下がっています。ただし改修の前後は別々の栽培で、株の大きさそのものも違います。噴霧栽培の霧を同じ指標で測った公開値は、見つけられませんでした。
解説動画: Catch can test for irrigation uniformity and rate/Phil Busey
カップで受ける: 動画は、散水のムラと散水の量を、地面に置いたカップで受けて測ります。10個の散水ヘッドが受け持つ区画に32個のカップを並べ、圧力30psi・ヘッド間隔15フィート・三角配置という条件を記録してから15分間運転する。カップは格子に置きつつ位置を少しずつずらして面全体を代表させる、と述べます。
量から率を出す: 受けた水は体積で読み、直径9.5cmのカップの口の面積70.88cm²で割って深さに直します。32個の平均は59.16mLで、時間あたりに直すと3.34cm/h(1.31インチ/h)。同じ圧力と間隔での表の値1.83インチ/hに対し72%しか出ていない、とその場で突き合わせます。
下位4分の1で見る: ムラの指標は、低いほうから4分の1の平均を、全体の平均で割った比です。32個のカップなら低い8個を取り、その平均32.5mLを全体の平均59.16mLで割って54.9%。動画はこれを悪い値と評します。平均だけでは見えない偏りが、一つの数字になって出てくるところが、この計算の値打ちです。
低い側の原因を見る: 低い値が南側に固まっていたことから、動画は風で水が流された疑いを持ち、地面に落ちるヤシの葉の影の動きを根拠に挙げます。その列を外して24個で計算し直すと指標は74.7%まで上がり、量も表の値の80%になりました。どこに問題があり、それがどのくらいの大きさかを知るために測る、と述べます。
ムラを一つの数字に: 扱っているのは屋外の散水ですが、測る点の数と位置を先に決め、圧力や運転時間の条件ごと書き残すという段取りは同じです。平均が同じでも低い4分の1が沈んでいれば別の装置だと分かるので、ノズルの本数と間隔を変えた案どうしを、感想ではなく値で比べるときの型として読めます。